報告
タケフミを追放した後、事情を説明するためにカエデに電話を借りてユウキに連絡を取る。
そして、事情を説明するが・・・
『なんで、タケフミを追放するんだ!君も大人だろ!
子供を追放するなんて何を考えているんだ!』
ユウキはヨシノブに怒りをあらわにしていた。
「タケフミくんは俺の追放を画策しました。
出来ないとはいえ、
そのような者をそのまま放置は出来ません。」
『じゃあ、タケフミはどうなると言うんだ!』
「頑張って生きていくしかありませんよね。
それに先程から子供と言ってますが、この世界だとタケフミくんの歳には働いている人が多くいますよ。」
『その世界と日本は違うのは当たり前だろ!』
「ですから、この世界の方針に従うだけです。」
『君を訴えてもいいんだぞ!』
「どうやって?俺は日本では死んでますからね。
それに船からは降りてもらいましたが、まだ食べ物と住む所は提供しています。
その間に更正すればいいだけですよ。」
『ぐぬぬぬ・・・』
ユウキは怒りに任せて話していたが・・・カエデの母、モミジがユウキを止める。
『ユウキさん、タケフミくんは越えてはいけない線を超えてしまったのですよ!
それなのにヨシノブさんに罵声を浴びせるなんて、恥を知りなさい!』
普段おっとりしているモミジの叱りの声にユウキは元よりヨシノブもビクッとなる。
『ヨシノブさん、此方は私が何とかしますので、どうかカエデをよろしくお願いします。』
「はい、勿論です。カエデちゃんは元気にしてますよ。後で話してください。」
『ええ、楽しみにしているのです。』
にこやかにヨシノブと話しているモミジだが彼女はしたたかでもあった。
カエデが異世界に行ってしまったという話を前提に色々検討していた。
学者達を集めて、異世界と繋ぐ方法の検討、
カエデが生きていく為にどうすればいいか。
様々な検討を行った
結果、帰って来るのは絶望的との事だった。
未知の技術に期待なんて夢物語を信じるわけにはいかない、
現状で娘が幸せになる方法はヨシノブの元で暮らす事だ。
ヨシノブの妻になってもいいし、他の人でもいい。
でも、ヨシノブと仲違いだけは絶対にしてはいけない、
何故なら、それは私達との連絡が途絶える事と同じなのだから。
その為なら、余所の子なんて知らない・・・エゴと言われてもモミジにとってカエデの命は何物にも代えがたいのであった。
タケフミの父親ユウキはヨシノブを責めていたが、ショウ、ミキの両親も話を聞いて納得する部分があったのだ。
ユウキは怒りながら帰って行ったが、この後どうするのだろう?
残りの携帯はカエデとミキの分しかない、
いつまでも携帯が壊れない保証は無かった。
その為、カエデから何か情報を得なくては、きっと何か手はあるはず・・・
モミジは親子の会話の中にも情報収集を怠らなかった。