タケフミとマイ
ヨシノブが目を覚ましたということはマイ達にも知らせられる。
食料庫で搬出していたヨシノブの所に集まる。
「ヨシノブさん!」
「あーマイちゃん、元気?」
「元気じゃないですよ、心配したんですから!」
マイの目には涙が浮かんでいる。
「ごめん、心配かけさせたね。
見ての通り、もう大丈夫だよ。」
「うん・・・よかった・・・」
マイは安堵して笑顔が戻ったが、空気の読めないヤツがいた・・・
「なあ、いつ日本に電話出来るんだ?
別にあんたがいなくてもいいのか?」
タケフミの頭の中には日本に電話をかける事しかなかった。
「お兄ちゃん、こんな時に何を言ってるの!」
マイはタケフミを叱るも、
「なに?そいつは無事だったんだろ?なら電話しようぜ。」
聞いていた周りの人は固まってしまう。
「タケフミくん、見ての通り俺は食料を出さなくては行けないんだ。」
「それはお前の勝手だろ?俺には関係ないじゃないか。」
「・・・それなら、みんなを連れて電話をしてきたらいいよ。
誰か案内してあげて。」
「すいません!兄が失礼な事を!」
マイは深く頭を下げる。
「マイちゃんが謝る事じゃないよ。」
「そうだぞ、マイこんな奴に頭を下げるなよ。それより早く行くぞ。」
タケフミはマイを連れて行こうとするが・・・
「お兄ちゃん携帯渡すから一人で行ってよ!」
「マイ?」
「なんでお兄ちゃんはヨシノブさんに失礼なの!私、もう知らない!」
マイは怒りながらタケフミの手をはらった。
「マイ、何を?」
タケフミは動揺する。
「お兄ちゃんは何で自分勝手なのよ!
私達が生活出来るのも、お兄ちゃんの命を助けてくれたのも全部ヨシノブさんのおかげじゃない!
それなのにヨシノブさんに失礼な事ばかり言って!」
「いや・・・でも、そいつは俺の腕を治してくれないし・・・」
「お兄ちゃんの腕が治らないのはヨシノブさんのせいじゃないでしょ!」
「でも、腕がなくなったのはそいつが用意した使節団のせいで・・・」
「地震の予測なんて出来ないでしょ!
お兄ちゃんが自分で判断してこの国に来たんじゃない、自分の責任を置いて、人のせいにしないで!」
「・・・」
マイが此処まで自分に逆らう事は今まで無かった。
その為、タケフミは言葉につまる。
「マイちゃん落ち着いて、タケフミくんはまだ両親とお話してないからね。
話したい気持ちが勝っているだけだよ。」
俺はマイちゃんを落ち着かせる為に頭を撫でる。
「ヨシノブさん、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
マイは俺にすがり付き泣いていた。
「なっ!マイ、なんでそんな奴に・・・」
マイが他人のヨシノブにすがり付く姿にショックを受ける、
たが、タケフミが言葉を発する前にカエデが提案する。
「ヨシノブさん、タケフミさんを案内してきますね。」
「カエデちゃん、頼めるかい?」
「はい、タケフミさん行きましょう。」
カエデはタケフミについて来るように伝え、Wi-Fi室に案内する。
タケフミもマイが気になるものの、あれだけ自分に反抗したんだ、今すぐ話し合いにはならないだろうとカエデと一緒に行くことにした。
タケフミはWi-Fi室に向かいながら、ふと考える。
何故、カエデは俺を案内してくれているのだろうと。
さっきのマイの様子からヨシノブの野郎はマイ達を騙しているのだろう。
騙して、信頼を得ているに決まっている。
それなのに俺の為に動いてくれているカエデは・・・
・・・なるほど、俺に惚れているのだな。
タケフミはどこまでいっても、自分の都合のいいように思い込む。
確かにカエデはマイの親友でよく家に来ていたし。
まさかそれも俺に会うためか?
タケフミはカエデを改めて見る。
なかなかいい尻をしてるよな・・・
一つ下で、美人だし、おっぱいもある、性格が良いのは知っているし、
そういえば、家は金持ちだったな・・・
タケフミは思わずヨダレが出そうになる。
これ程の優良物件は無いだろう。
きっと、淡い恋心を日本にいる時から抱えていたのだろう、気付いてあげれなかった自分が悪いな・・・
タケフミはカエデについて行きながら妄想を重ねていた。