回復
刺されたヨシノブの横でサリナは看病していてた。
ヨシノブが熱を出していたのでずっと頭を冷やしているのだ。
そして、部屋に誰も入れていない。
艦長室にヨシノブを寝かせた後、一人で看病していた。
途中、マイ達も来たが、タケフミが一緒にいたこともあり、入室を断った。
ルクスやルイスが様子を見に来た時も、状態の悪化を防ぎたいとの理由をこじつけて入室させなかった。
この状況で何かされたらヨシノブを守れないとサリナは考えていた。
その為、鍵をかけ、引き込もっていた。
翌朝、ヨシノブは目を覚ました、
「ヨシノブさん!」
サリナは目を開いた俺に抱きついてくる。
「お、おはよう、サリナさん。いきなり何?」
俺はいきなりすぎて混乱する。
「ヨシノブさん、心配させないでください。」
サリナは安心したのか眼から涙がこぼれていた。
「あー、ごめん。それでどうなっているか教えてくれるかな?」
俺はサリナの涙を拭き取り、状況を説明してもらう。
サリナは俺が倒れてからの事を話してくれた。
「なるほど、となると外の住人達の食糧配布が滞っていそうだね。
まずはそこから改善しようか。」
俺は部屋を出た後、見かけた兵士に声をかけ、食糧庫に向かう。
「まずは住人に食事を運んで、俺とサリナが倉庫から出すから外に持っていって。」
「ヨシノブさんは安静にしてください!」
サリナは俺を止めようとするが、
「大丈夫、ポーションで傷はふさがっているからね。」
俺は作業を続ける。
外に設置されている調理場でも、調理が開始された。
その匂いにひかれ、人々が集まってくる。
「ヨシノブ様が眼を覚まされた。よって食事の配布が再開される。
だが、よく覚えておいてくれ、この食事はヨシノブ様が無事だから行われるのである。
あの方に何かあると止まるものと心得ておいてくれ。」
兵士は配る前に住人に伝えた。
住人達にザワツキが起こるが、
肝に銘じる事になった、
今、援助を受けていられるのはヨシノブのおかげだと。
そして、何としても守らなければならないということを。
この事は多くの人を通して広く王都に流布されるのであった。




