タケフミ発見
アレクに会い、王都の混乱も静まりつつある中、遂に使節団を発見することが出来た。
「皆、無事か?」
最初に見つけたのはルクスであった。
使節団の団長をつとめていた、アベル子爵は宿泊していた宿の崩壊に巻き込まれ、残念ながら命を落としたようだが、ほとんどの者は生きていた。
しかし、怪我人も多かった、
そして、その中にタケフミも・・・
ルクスがタケフミ以下使節団を港に連れてくる。
「お兄ちゃん・・・」
タケフミの姿を見てマイが駆け寄るが、
右腕が無くなっている姿に言葉を失う・・・
「マイ、俺の右腕が無いんだよ、なあ探してくれよ。誰も探してくれないんだ、右腕があればくっ付けれるだろ?
こいつら現代医学を知らないから探さないんだ!」
タケフミは腕があればつけれると思っているようだが、そんな事はない。
即座に見つけて凍らせていれば何とかなったかも知れないが、既に何日もたっている上、ガレキで潰れた腕がつくとは思えなかった。
マイがかける言葉を失い黙っているなか、俺は声をかける。
「タケフミくん、落ち着いて。
君の右腕は残念ながら失ってしまったんだ、現実を受け入れて今後の事を考えよう。」
「うるさい!お前は他人事だからそんな事を言うんだろ!」
「・・・そうだな、俺は腕があるから他人事になるだろう。
だけど、タケフミくん、君が腕を失ったのは君が選択した結果だ。
受け入れて、これからの事を考えるんだ。
君には妹もいるだろう!君がしっかりしないでどうするんだ!」
「うるさい!うるさい!うるさい!
俺に説教なんてするな!
お前は黙って俺の腕を治せよ!治せばいいんだよ!」
タケフミは錯乱しているのか、周囲に喚き散らしていた。
「タケフミ、落ち着け。」
ショウがタケフミに駆け寄った。
「ショウ、聞いてくれよ!このおっさんが俺の腕が治らないなんて言うんだ!」
「ヨシノブさんが言うなら治せないんだろ。
お前は無くなった腕が本当に治ると思っているのか!」
ショウに言われ現実が見えたのか、タケフミの目から涙が溢れ落ちていた。
「なんで、俺がこんな目に遭わないといけないんだ!
もう、いやだ!お家に帰りたい、帰りたいよぉ・・・」
タケフミは号泣していた、
「ショウくん、タケフミくんを部屋に連れて行ってあげてくれるかな?」
俺は友人同士の方がいいと思い、ショウに頼む。
「わかりました、タケフミ、部屋に行こう。」
松葉杖をつきながら、ショウはタケフミを船の部屋に案内していた。
「マイちゃんも落ち着いて。」
マイもタケフミの怪我を見てから固まっていた。
その上、兄の錯乱を見てしまったのだ、ショックを受けない訳がなかった。
「ヨシノブさん・・・お兄ちゃんが・・・」
マイは呆然とした表情で座り込んでいた。
「マイちゃん!気をしっかり持つんだ!」
俺はマイを強く抱き締める。
「お兄ちゃん・・・」
マイは俺の胸に顔を埋め、号泣しだすのだった・・・