パーティ
「ルイス、似合っているね。可愛いよ。」
俺はルイスの衣装を褒める。
「ありがとうございます。」
謝辞など聞きなれているだろうルイスが少し頬を赤らめ喜んでいた。
ルイスの姿を子供達も含め褒めていると、迎えがやって来た。
「ヨシノブさん、迎えに来ましたよ。どうぞ此方へ。」
ルイスと共に、ルクスが用意した馬車に乗り城に向かう。
案内された場所は謁見室であった。
「ヨシノブ殿、前へ。」
「はい。」
俺は呼ばれて前に行く、その場には多くの貴族が並んでいた。
「そなたの活躍のお陰で我が国は救われた。
よって、白金貨10枚と自由騎士の称号を与える。」
俺が受け取ろうとすると・・・
ルイスが一歩前に出てきて、ルーズ王に問いかける。
「ルーズ陛下お待ちを、ヨシノブ様を取り込む事はしないとの約束では?」
「わかっておる、ワシが今回任命する自由騎士は我が国に属さなくてもよい、だが身元は我が国が保証するとの意味だ。
ヨシノブ殿の意志で動いてもらってかまわない。」
「・・・失礼しました、そこまでお考えでしたら私に言うことはありません。」
ルイスは仕方なく元の列に戻る。
ルーズ王にしてやられた感じであった。
「皆に言う、ヨシノブ殿に命令することは許さん。たとえどのような身分であってもだ。
破れば王家の名の下に処罰すると誓おう。」
王の宣言に貴族達も頭を下げ、従う意志を示した。
ルイスは完全にしてやられたのである。
祝宴が始まると多くの貴族が友好的にヨシノブに話しかけてくる。
ヨシノブが滞在中、多くの人達の処置をしている。
貴族の中にも自分や家族を助けられた人が多い、その為、多くの者がヨシノブの後援者になっていた。
ルイスの焦りは強くなる一方だ、ルイスが横にいるから女性からのアプローチこそないが、ヨシノブが話せば話すほど、マルドラド王国との繋がりが薄くなっていく感じを受けている。
そんな時にマインズ王国、第三王女リーナがやって来る。
ヨシノブを前にちょこんとお辞儀をして。
「ヨシノブさん、わたしはリーナと申します。
お菓子ありがとうございます。みんなで美味しくいただいております。
私が子供達を代表してお礼を申し上げます。」
ヨシノブが、城に来るにあたって、前もって献上品(酒と菓子)を納めていた。
別室で子供達が集まっての宴を行っていたが、其処で振る舞われていたのはヨシノブが献上した菓子であった。
あまりの美味しさに子供達は感激していた。
日本の菓子の勝利でもあった。
7歳のリーナは子供達の代表として、自分達の感謝を伝えに来ていた。
「こら、リーナ子供は此方に来てはいけないと言っておいただろ?」
ルクスはリーナを咎めるが、
「ルクスさん、怒らないであげてください。
リーナさん、ありがとうございます。お礼は受け取りましたよ。」
俺は笑顔でリーナのお礼をうける。
リーナは無邪気で華やかな笑顔を見せる。
「ヨシノブさん、ありがとうございます♪」
再びお礼を述べてくる。
「リーナそろそろ部屋に戻りなさい。王女のリーナが決まりごとを破ってはいけませんよ。」
ルクスにたしなめられ、リーナは部屋に帰っていく。
「失礼します、ヨシノブさん♪」
去り際に綺麗なお辞儀を見せてくれた。