パーティの前に
「表彰式と祝宴ですか?」
俺は城の礼儀をルイスに聞いていた。
「そうなんだよ、ワイバーンを倒したから出て欲しいと頼まれてね。」
「それで、祝宴があるそうなんだけど、一連の礼儀作法を教えて貰えないかな?」
「わかりました。
そうだ、祝宴に私も連れて行っては貰えませんか?色々フォロー出来ると思うのですが。」
「頼めるかな?俺だけだと不安だったんだよ。
貴族の対応もわからないしね。」
「お任せください、あっ、でも、サリナさんはいいのですか?」
「サリナはこの船を任せるつもりなんだ、子供達もいるし、しまう訳にはいかないからね。」
ルイスは何処か腑に落ちない気がしたが、祝宴に一緒に行くことを考え深く聞かない事にした。
当日、ヨシノブは自衛隊の礼服に着替え、ルクスを待つ。
着替えてすぐにサリナに会った。
サリナは此方を見て固まっていた。
「サリナさん?どうしたの?」
「い、いえ、あまりにかっこよくて見惚れてしまいました・・・」
少しモジモジしながら恥ずかしそうに言ってくる。
「ありがとう。初めて着たけど、ちょっと慣れない感じがあるんだけどね。」
「そんなことありませんよ。似合ってます!」
サリナの勢いに押され気味になる。
其処にマイ達もやって来た。
「あっ・・・」
マイも此方を見ると固まってしまう。
「どうしたの?」
「い、いえ、ちょっと・・・」
マイもサリナのようにモジモジしだした。
「濡れてるの?」
小さい声でミキがマイの耳元で囁く。
「ミキ!な、なんて事を言うのよ!」
「あれ?その反応ホントに?」
「ち、ちがうから、そ、そんなこと、有るわけないでしょ!」
マイが顔を赤くして否定している、
「マイ落ち着いて、ミキの冗談だから、そんなに慌てると疑われちゃうよ。」
カエデは柔らかく止める。
「カエデ~ミキがいじめるの~」
「ふふ、ミキもあまりいじめないで。」
少し内股でよってきたマイの姿が全てを表していたが、カエデは気付かないフリをしてマイを抱き締める。
「は~い、マイ、あとで一緒にお風呂にいこうね。」
「ミキ!」
三人仲良く騒いでいた。
それを眺めていると緊張が緩むのであった。
「ヨシノブさん、カッコいいです。」
ショウもやって来るなり褒めてくれる。
「ショウもありがとう、そうだ、ショウも着てみるかい?」
「いいんですか?」
「ああ、サイズは自由に出せるから、着てみたら良いよ。」
俺はショウの分も出し、ショウも着替えてきた。
「ショウさん、似合いません。」
「すいません、着なれてない感じがいまいちです。」
「ショウ、ヨシノブさんと並んで、うん、やっぱり違うね。」
三人揃って酷かった。
「ヨシノブさ~ん!」
ショウの心は傷ついたようだ。
「はは、みんな冗談は止めてあげなよ。」
「・・・はーい。」
「ま、待って、今の間はなに?もしかして本当に似合ってない?」
「別にそんなこと、ありませんよ。
ただ、ヨシノブさんと比べたら・・・」
「比べないで!これが普通だからな。」
結局、子供達は仲良く騒いでいたのだった。
其処にルイスがやって来るのであった。




