到着
寝坊はしてしまったが船は既に動いていた。
俺は艦橋に向かう。
「サリナさん、寝坊しました。」
「ふふ、いいですよ、昨日は楽しく飲んでいらしたもの。」
「あれ?もしかして見た?」
「ええ、艦橋に戻ろうとしたら甲板で酒盛りしてましたから驚きましたよ。」
「気がついたらつい。」
俺はちょっと恥ずかしくなる。
「朝食を御部屋に用意してますからもう少しゆっくりなさってください。」
「ありがとう、御言葉に甘えて朝食食べたら少し寝かして貰うよ。」
「はい、副官の私に任してくださいね。」
俺が起きれたのは昼になってからだった。
「ごめんね、だいぶ任せきりだったね。」
「いいんですよ、私に出来る事なら何でもしてあげますから。」
俺はドキッとしてしまった。
それからは順調にマインズ王国に向かう、時々、兵士達と運動したり、一緒に飯を食べたりと距離が近くなっていった。
「陸が見えたぞ!」
兵士達が甲板で騒ぎ出す。
一週間の船旅で陸が恋しくなっていたのだろう。
「上陸は明日になるよ、城にいく時は船をしまうから忘れ物はないようにね。」
翌日、港に停泊すると直ぐにルクスが迎えに来る。
俺達は五百の兵を連れて城に向かう。
城に着くといきなり王の私室に通される、
「ヨシノブ殿すまないが早速診察して貰えないか?」
「わかりました、ただ、此処では無理です、中庭でいいんで広い場所をお貸し願えませんか?」
「わかった、直ぐに手配する、父上、少し失礼します。」
俺は中庭に治療設備を展開する。
「飲んでいる薬はこれですか?」
「ああ、ローラン王国で貰った物だが。」
俺は薬を見ると驚く、風邪薬、胃薬など関係無い薬も紛れていた。
「これは色々な薬が混ざってますね、診察後に新たに薬を出します。」
「そうなのか!わかった、よろしく頼む。」
俺は王の診察を始める。
「肺結核ですね、この薬を飲んでください。」
俺は診察結果を知らせ、薬を渡す。
「同じような薬に見えるのだか?」
「そうですね、見た目は白い粉を固めた物ですが成分が違うのです、必ずこの四種類の薬を飲んでください。」
「わかった。」
「暫くは状態を見たいので、滞在しても宜しいですか?」
「もちろんだとも、こちらからお願いしたい話だ!城に部屋を用意致そう。」
「お待ちください、我らはヨシノブ様の護衛で来ているのです。
引き離す真似は止めていただきたい。」
ルイスがルクスをひき止める。
「しかし、滞在なされるというのに、城に招かぬと言うのも・・・」
「ルクス様、約束を違える気ですか?」
「わかった、取り込んだりする意思はない、しかし、どうする?」
俺はふと思う、今の季節は夏、たとえ王城で生活しても暑いのは間違いない。
それならば・・・
「港を一隻分御借り出来ませんか?」
「港?まさか船で過ごす気か?」
「ええ、私の船は快適ですから。」
「いやいや、そのような失礼な真似は出来ない。屋敷を用意するからそこに滞在して貰えないか?」
「大丈夫ですよ、そうだ、一度見に来てください。」
ルクスはヨシノブが言う船が少し気になって来る。
先程出した治療所はわからないものばかりであった。
もしかしたら船も自分の知らない物なのではないか、今知るべきではないかと考えていた。
「そうですね、それならば一度見せて貰いましょうか?」
「ええ、見てください。」
俺はルクスと港まで一緒に行くことにした。




