尉官昇進
俺は船を選択しようとするがふと、階級が気になった。
「ステータスオープン!」
少尉
いったいこれの昇格条件は何なんだろう?
謎に包まれているスキルだが、いつもと違い船を選ぶ所に光るマークがついている。
光を触ると・・・
『尉官昇格おめでとうございます。
今後、昇進するたびに副官を一人任命出来るようになります。
あと、わずかながらですが、ボーナスを御用意しました。』
メッセージと共に選択肢がある。
『大日本帝国海軍の船を一つプレゼント!
好きな船を選んでね。』
・・・これはなんなんだ?
メッセージに戸惑う。
しかし、選択肢には戦艦金剛、空母赤城など色々な太平洋戦争時の船が出てきた。
しかし・・・
漢なら大和だろ!
俺は大和を選択した。
『大和が選択されました。以後大和を使用することが出来ます。
・・・あまり手助けは出来ないけど、頑張って。
トート』
どうやら死んだ時に会った、受付のトートさんからのプレゼントのようだ。
俺は手を合わせて感謝する。
「トートさん、貴方のお陰で暮らしていけています。
ありがとうございます。」
それから兵の準備と相手の迎え入れ準備が出来たと報告があった為、俺はルイスとサリナを連れ、港に向かう。
そこにはカーム、ディーンが既についており、俺についてくる、五百の兵とそれを運ぶ5隻の船が待機していた。
「ヨシノブ、遅かったな、既に準備は出来ておるぞ。
此方の兵の指揮権はルイスが持っておる。
旅の安全は任せておけ。」
「あの~それはいいのですが、船は私のに乗ればいいですから、5隻も要りませんよ。」
用意されている船はガレオン船のようだ、どうやら、船の技術は地球の大航海時代あたりらしい。
「何、五百も乗るのであるぞ、船乗り以外を乗せる必要があるからな。」
カームは不思議そうに聞く。
「いえ、要りません。まあ見てもらった方が早いですね。」
俺は大和を呼び出す。
「な、な、な、なんだこれは!!!」
カームは驚きのあまり口がふさがらなかった。
巨大な黒の鉄の船が姿を現したのである。
「俺の船、大和です。この船には三千人が乗れますから、大丈夫ですよ。」
「そうではない、何なのだこの船は・・・」
カームは船を見上げている。
「大和という船ですよ、さあ、此処にいるのもどうですから、乗船しましょうか。」
俺はカーム、ディーン達を船に案内する。
「この筒はなんなんだ?」
甲板においてある主砲45口径九四式46センチ3連砲見てカームが聞いてくる。
「これは敵船を沈める武器ですね。」
鉄砲もない世界なので説明は簡単にすることにした、詳しく説明してもわからないと思っての事だ。
そして、内部も紹介していく。
「この部屋をルイスさんに使用して貰います。
隣が公室として、その奥が寝室、
さらに奥に浴室と厠があります。」
俺は長官室をルイスに使って貰うことにした。
「こんな立派な部屋があるなんて・・・」
ルイスは驚いていた。
「あと、この階下に部屋が幾つかありますので兵の指揮官や侍女の方達がお使いください。」
そして、その後、兵士の居住区、炊事場、食糧庫を案内する。
「あり得ない・・・」
先日船旅を経験したディーンは驚きをかくせなかった。
「ヨシノブは何処の部屋にいるつもりか?」
カームは少し気になったので聞くと、
「私はあそこに見える艦橋にある、艦長室にいますよ。サリナさんも隣にある参謀室でいいかな?」
「はい、私はヨシノブさんの傍にいられるなら何処でもいいですよ。」
「私もそこが・・・」
ルイスも訴えて来るが、
「王女さまと同じ部屋は不味いでしょう、ルイスさんの部屋は侍女さんも待機しやすいですからね。」
「そんな、私はいいのに・・・」
「世間体の話です。」
ルイスは残念そうにしているが、同じようにカームも残念そうにしている。
カームとしては同じ部屋で間違いがあってくれた方が都合がいいのだが・・・
こうして、俺の船旅が始まる。




