騎士団到着
「失礼、話し合いは終わりましたよ。」
サリナとルイスが部屋に帰ってきた。
俺は話し合いの内容が気になり聞くが。
「えーと、どうなったの?」
「それは乙女の秘密です。」
答えてくれる事はなかった。
「それより、マクドーナル伯、王都より騎士団が参ります。それまでこの町をしっかり守ってください。」
「仰せのままに。」
チースはルイスの命令の元、防衛を強化する。
だが、ローラン王国軍は遠くに陣をしいたまま、攻めて来る様子はなかった。
にらみ合いが続くこと二週間、マルドラド王国から騎士団が到着する。
「マクドーナル伯、援軍に参りましたぞ。」
騎士団を指揮する。テリー・マック子爵はマクドーナル伯爵の甥であった。
28歳と若いながらも軍才に優れ、第四騎士団の団長に上り詰めていた。
今回、叔父が攻められていると聞き、援軍に志願し、急ぎ駆けつけたのである。
「テリーよ、良くきてくれた。」
チースは駆け付けてくれた甥を歓迎する。
「して、状況を伺いましょう。」
テリーとしてはどれ程の被害が出ているか心配であったが、話を聞くと大きな損害は出ていなかった。
逆に敵の被害を聞き、驚く。
「なんと、敵は崩壊寸前ではないですか。見事ですね。」
「いや、私は何もしておらん、ルーカス商会の者が敵を倒したのだ。」
「なんと?一商会がそこまでの戦力を持っているとは思えませぬが?」
にわかに信じがたい話であった。
だから、その者を呼ぼうとするが・・・
「なんだと、用があるなら来いとは些か増長がすぎるな。」
ルーカス商会に送った使者が追い返されていた。
仕方なくテリーはルーカス商会を訪れる。
「ルーカス殿、一商人が騎士団団長の呼び掛けを断るとはどう言うことですか・・・」
テリーの声は小さくなる。
そこに座っていたのは王女ルイスだったのだ。
「姫様!し、しつれいしました。」
「此方に呼んだのは私の指示です。
ルーカスさんを悪く言わないように願えますか?」
「はっ!して、ルーカス殿にお聞きしたいことが有って参った次第であります。
面会は叶うのでしょうか?」
「戦力についてでしょう?あれは王家の秘密になります。
ルーカスさんもよく知らない筈ですので、マック子爵も探りすぎないようにしてください。」
「えっ、はっ!姫様がおっしゃられるのなら問題ありません!」
「わかっていただき何よりです。
マック子爵はこれからローラン王国が撤退するまでラードの街の防衛をお願いします。」
「お任せあれ!必ずや守りきって見せましょう!」
テリーはルイスに約束をかわす。
そんな中、カクタス侯爵がラードの街に使者として到着するのであった。




