救援
俺がラードに着いた時には戦が始まっていた。
城壁に兵士が取り付き、昇ろうとしている、門に木の杭を打ち込み、破壊しようとしている。
俺は敵兵に向かいヘリに搭載してある。
機関銃を撃ち放つ。
まずは門を破壊しようとしている者達、次に城壁を昇ろうとする者、そして、郊外に布陣している本陣に目掛け乱射した。
敵は混乱して逃走を開始した。
空を飛ぶ戦闘ヘリに立ち向かう術がないのである。
敵の退却を見て、俺はルーカス邸に着陸した。
「サリナさん!無事ですか?」
ヘリが着陸すると屋敷からサリナやルーカスが出てくる。
俺はサリナに安否を確認する。
「大丈夫です!それよりヨシノブさんは無事でしたか?」
「俺はなんともないよ。」
俺とサリナが再会を喜んでいるとルーカスが話に入ってきた。
「ヨシノブ、ローラン王国軍はどうなったのだ?」
「大丈夫です、蹴散らしました。
多分撤退していると思います。」
「なんと、本当なのか?」
「本当ですよ、ヨシノブさんのお力は凄い物がありますね。」
ルイスが肯定してくれる。
「これはルイス様!」
ルーカスとサリナは膝をつく。
「構いません、それより、怪我人の治療をルーカス商会に命じます。
ポーションの提出を願います、費用は王家が持ちますので、身分に関係なく怪我人全てを治療してください。」
「はっ、お任せを!」
ルーカスは赤字覚悟で全てのポーションを出すつもりであった。
しかし、ルイスが王家が費用を持つと言ってくれた。
ルーカスとしては有難い話であった。
「ヨシノブさん、チース伯爵の所に一緒に来てもらえますか?」
「わかった。」
俺とルイスが向かおうとしたところ、ルーカスが引き止める。
「待て待て、護衛を出すから少し待ってください。」
ルイスを見て敬語になる。
俺達はルーカスの薦めの通り待っていると、逆にチースがやってきた。
「ルーカス、さっきの空を飛ぶものはなんなんだ!」
部屋に入るなりいきなり叫んでいる。
「マクドーナル伯爵、うるさいですよ。
もっと落ち着いてくださいませ。」
「ひ、ひめさま?何故ここに?」
「主人と共にこの町を救いに来たのです。
貴方も見たでしょう、主人の力を。」
「姫様、いつの間に御結婚を?知らぬ事とはいえ失礼しました。
まさか、あのような力の持ち主と御結婚なさっていたとは、このチース情勢に疎いにも程がありましたな。」
「いえ、いいのです。先日したばかり・・・」
俺はルイスの頭を軽く叩く。
「ルイスさん、結婚してないですよね。」
「お、おまえ、姫様の頭を叩くとは!」
チースは俺に掴みかかる勢いで怒鳴ってくるが・・・
「いいのですよ、彼が私の相手になる人ですから。
まあ、まだの話なんですけど・・・」
「なっ!この男が?」
チースは呆気にとられている。
そんな中、後ろから凄い圧力を感じる。
「ヨシノブさん、どういう事ですか?断りに言ったのでは?」
サリナの目が怖い。
「いや、どうもこうも、全く身に覚えが無くて・・・」
俺がサリナに言い訳をしていると、ルイスが腕を組んでくる。
「私がお父様にお願いして許可を貰ったんです。ヨシノブさんに知らせる前に此方に来ることになってしまったのは残念なのですが。」
「えっ、国王陛下がお認めになられたの?」
サリナは驚いている、まさか、身元不明のヨシノブと王族のルイスとの結婚を認めるなんて事はあり得ないと考えていた。
「それで、サリナさんにお話があるんです。
ヨシノブさんはそこで待っててくれますか?
乙女同士の話があるんです。」
ルイスはサリナを連れて別室に向かう。
二人がいなくなるとルーカスが近づいてきた。
「ヨシノブ、どういう事だ?」
ルーカスの目も怖い。
「いや、俺もさっぱりわかりません。」
「はあ、お前は規格外だとは思ったが、まさか、此処までだとは・・・」
二人が帰ってくるまでルーカスに呆れられながら、女性関係について説教を喰らうことになってしまっていた。




