ホルン
ホルンは警備をしている兵士から剣を奪い、俺に向けてくる。
周囲は悲鳴に包まれていた。
「貴様、このホルン様を侮辱したんだ覚悟は出来ているのだろう!」
「お前、こんなことしてただで済むと思っているのか?」
「うるさい!騎士に膝をつけさせる無礼をしたんだ。無礼討ちされても仕方あるまい。」
「王族に失礼をしたんだからお前の方が間違っているが・・・だが、剣を向けている以上仕方ない。」
俺は拳銃を取り出し、両足を撃ち抜く。
パンパン、軽い音が響き渡り、ホルンが倒れ込む。
「何がいったい!」
周囲は状況がわからない、騎士の男が剣を向けたと思えば、いきなり倒れ込んだのだ。
「貴様何をした!」
ホルンは倒れながらも俺を睨む。
「お前の両膝を撃ち抜いた、山賊を始末した方法だよ。」
周りの騎士が駆け寄ってくる。
「確かに同じだ、穴が空いているだけだ。」
「となると山賊を倒した、お嬢様を助けたのは・・・」
騎士達は俺を見てくる。
「半年ほど前、崖の上からそこの彼女が山賊に襲われていたから助けた。
崖の上だったので降りれなかったからそのまま立ち去ったが、そこの男が手柄をとっていくのは見ていたよ。」
「そのような事が・・・ホルンを拘束せよ。」
騎士は兵士に命じてホルンを捕縛する。
「なっ、貴様何をする。離せ、離さんか!」
ホルンは抵抗するが足の動かないホルンの抵抗はたいしたものではなかった、しかし、虐げられた恨みか兵士はわざと痛いように縛りあげていく。
「ぐっ、痛いではないか、離せ!もっと緩めろ、頼む、抵抗しないから普通に・・・」
段々語尾が弱くなるが兵士は気にもせず縛り上げていた。
「アンナ、助けてくれ!兵士に俺を離すように命じてくれ。」
ホルンは兵士に頼んでも無駄だとわかりアンナに頼みだした・・・
しかし、アンナの顔は青くなったままだった。
「・・・ホルン、貴方が私を助けてくれたのではないのですか?」
「勿論、俺が助けたさ、君も見ていただろ?」
アンナは周りの騎士を見るが、
「アンナ様、貴女は騙されていたのです。
倒された山賊に剣による攻撃の傷痕はありませんでした。
今までどのようにつけたかも謎でしたが今、この傷痕を見れば一目瞭然です。
アンナ様を助けてくださったのは此処にいるヨシノブ様なのでしょう。」
「そんな・・・じゃあ、私は・・・」
アンナはショックで倒れてしまう。
貴族令嬢でありながら、恋にうつつを抜かし、ホルンにカラダを許してしまっていたのだ・・・
「アンナ様!」
侍女が倒れたアンナを連れて屋敷の奥に下がって行った。
それと共にホルンも兵士に連行されて連れていかれる。
「ルイス様、申し訳ありません。当家に属する者が不始末を犯してしまいました。」
事態を知ったチースが駆けつけてくるが、全てが終わった後であった。
「ええ、あの者の処分はお任せ致します。
ただ、あのような者が出る屋敷に滞在は出来ませんので、ルーカスさん、どうか屋敷に滞在させては貰えませんか?」
「ルイス王女様に滞在していただけるとは、当家としては末代までの誉れにございます。」
「ありがとうございます。ヨシノブさん、今晩はゆっくりお話しましょうね。」
頬を赤らめながらルイスはヨシノブに近付こうとするが・・・
「ルイス様、少々近いと思います。
あらぬ疑いがかかれば御身の御名前に傷が入ってしまいます。」
「あら、サリナさん、少しぐらいはいいではないですか。
それに傷がついたら責任を取って貰うだけですし。」
「王女様が何を言うのですか?平民のヨシノブさんが責任をとれる筈が無いと思うのでどうか御自愛くださいませ。」
サリナとルイスは二人で笑顔のまま睨みあっていた。




