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異世界に飛ばされて  作者: Katty
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輸送

荷物を積み終えたのは昼を過ぎた頃だった。

「さあ、ヨシノブさん、行きましょう。」

マスが急かしてくるが、

「少し待ってくれ、乗せる人がいるんだ。」

「乗せる人ですか?」

「ああ、ラードまで乗せてくれと頼まれてね。

あまりに真剣だったから引き受けたんだ。」


「まあ、ヨシノブさんの力で移動してますからね。私としては問題ないのですが、いったいどなたなんですか?」

「えーと、名前は・・・」

俺が名前をつげようとすると遠くから声が聞こえてきた。


「ヨシノブさん、遅くなりました。こちらが一緒に行く妹のルイス・マルドラドと護衛のオルネルです。」

「初めまして、ルイスと申します、この度は兄と私達の無理な頼みを聞いていただき感謝致します。」

ルイスは丁寧に御辞儀をする。


ルイスの見た目は12歳ぐらいの子供であるがしっかり教育を受けているのか立ち振舞いが美しかった。

まあ、見た目も完璧な美少女だった為に一瞬目を奪われてしまう。


「これは失礼、私はヨシノブ、ルーカス商会に属しているものです。

この度ディーンさんの依頼を受けてラードまでお運び致しますが、乗り心地については容赦を。」

「ええ、それについては兄より、聞いております。

それに此方に来た船も揺れて大変でしたので覚悟はしております。」

「わかりました、では、早速お乗りください。直ぐに向かいましょう。」


ディーン達一向を連れて飛行艇に乗る、

「皆さんは此方にお座りください、指示があるまでこのベルトを着けていてください。

マスさんは助手席に座ってもらえる。」

俺はみんなを席につけ出発する。

さっきからマスが一言も声を出していない。

少し不審に思いながらも、飛行艇は出発した。


「なっ!空を飛んでいる!!」

ディーン含め三人は窓から見える景色に驚愕する。

「そうですよ、雲の上を越えますから嵐は関係ないのです。

あっ、シートベルトはもう外していいですよ。」

俺の声にシートベルトを外してディーンは俺の方に来る。

「いったいこれは何なんだ?

こんな物があるなんて聞いた事もない。」


「これは私専用の力なのです。ルーカス商会に所属したのも最近ですし、マルドラド王国に来たのもつい先日ですから。」


「なんと・・・」

ディーンは声も出ていなかった。


「ヨシノブさん、素晴らしいお力ですね、このお力を今後も借りる事は出来ますか?」

ルイスは俺に聞いてくる。

可愛い女の子の頼みは断りづらい・・・

「ええ、手が空いてる時なら力を貸しますよ。

でも、どんな事ですか?」

「お父様、お爺様、あとお母様にもこの景色を見せてあげたいのです。」

ルイスの平和なお願いにホッコリする。

横のマスの表情は更に悪くなるが・・・


「そんな事なら何時でも、でも、こいつが降りれるのは水の上か、長く平らな土の上しか無理ですが、住んでいる所に海はありますか?」

「海はないです・・・」

ルイスはしょんぼりする。

「なら別の物で空を飛ぶことが出来ますからそれでも宜しいですか?」

「まあ、他の方法もあるのですね!

お願いします。」

ルイスの表情は明るくなる。

その豊かな表情に癒されているとマスの表情は暗くなるばかりだった。


ルイスとディーンが離れて他の場所に景色を見に行ったのでマスに声をかける。

「マスさん、大丈夫?顔色悪いよ。」

「ヨシノブさん、あなたわかってますよね?」

「何が?」

「相手の御名前の事を。」

「うん、聞いたからね。ディーンさんとルイスさん、あとオルネルさんでしょ?」

「や、やっぱり、わかってない!」

「えっ、間違えてた?」

「違います、そんなことではありません!

あの方は・・・」

マスの声は途中で止まる。


「ヨシノブさん、さっきルイスに別の方法もあると言っていたけど、どんな方法なのかな?」

ディーンが話しかけてきた。

「ディーンさん、これとは違う乗り物に乗るだけですよ。」

「それを使って王都まで送って貰う事は出来ないのかな?」

「そうですね、予定の確認をしないと答えれないのですが、予定が空いていれば構いませんよ。」

「予定とは何かあるのかい?」

「国王陛下が開かれる宴に荷物を運ぶ必要がありまして、此処に乗ってる荷物もその為なのです。」

「それならば大丈夫だ、私達も一緒に運んでくれた方が話が早くなる、ルーカス殿には私から話をするよ。」

「そうですか、それならいいですよ。

勿論、その時の乗り心地も保証しません!」

「くくく、わかってる。だが、これでも充分乗り心地は良いよ、船より揺れないからな。」

ディーンは何処か楽しそうに話しているが、隣のマスはついに眠りに入ったようだった。



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