戦争準備
ローラン王国から7万の軍勢がこちらに向かって来ていると連絡があった。
「来たか、みんな防衛準備はいいか?」
「はい!」
俺達は敵の侵攻に備えて準備を怠っていなかった。
基地の周囲には有刺鉄線を張り巡らし、防衛を強化し、壁の周囲には堀を掘った。
基地内には多連装ロケットシステム、155㎜榴弾砲を配備、
港には大和、まやを配置していた。
大和をサリナに預け、マイやカエデ、リザークと住人を避難させ、港から少し離れた所で待機させている。
「サリナ、住人の事は任せたよ。もし、何かあれば離脱してマインズ王国を目指してくれ。」
「ヨシノブさんを置いてはいけません!」
「俺は大丈夫だよ、いざとなればヘリでも潜水艦でも使って逃げるから。」
「そうですよぉ~私も護衛についてあげますし。」
ファイは胸をはる。
「ファイは戦えるのか?」
「もちろんですよ。魔族の中でも結構強いんですからね。」
俺は魔族の戦闘を思い出す・・・
何処かのアホがミンチになっていた。
「何を思い出しているんですか!そりゃあの子達には勝てないかも知れませんが、人族にそう易々遅れはとりませんよぉ~」
「あれ?何も言ってないよな。」
「顔に出てましたよ。」
俺が首をかしげているとファイは抗議してきていた。
「ファイさん、ヨシノブさんをお願いします。」
サリナはファイの手をとる。
「サリナさん、任せて下さい!」
二人で話しているので俺はショウに話しかける。
「ショウくん、戦えるかい?」
「大丈夫です。覚悟は出来てます!」
俺はショウの目に覚悟を見た。
「わかった、ミキと一緒にまやに乗って援護射撃につとめてくれ、もし、海上から敵が来たらショウくんに任せる。」
「はい!」
「いいかい、これは戦争だ、絶対に生き残るぞ!」
ショウに声をかけた後、ルクスに話しかけられる。
「ヨシノブ、俺達はどうする?船に逃げてろなんて言うなよ。」
「あールクスにはまやに入って貰おうかと思っていたんだけど・・・」
「言うなよ。」
「わかった、町の中に敵が来たらマインズ兵には戦ってもらうよ。それまで待機してくれるかな?
ルクスは俺と一緒に司令部にいて貰えるかな?俺に敵軍の動きをアドバイスして欲しい。」
「おう!任しとけ。」
ルクスは軍を副官に任せて、俺はルクスを司令部に案内する。
ルクスを司令部に入れるのは初めてだった。
これまでは使う事もほとんど無かった事もあるが、
基地の心臓ともいえる場所を見せる気は無かったが、俺達の為に命をかけて残ってくれているルクスに対しての最大限の礼としたのだ。
「これは・・・」
ルクスは無機質な部屋をキョロキョロと見回す。
「此処には通信、映像、レーダーなど色々な情報が集まってくるようになっているんだ。
戦闘が始まると此処から指示を出す事になる。
あと、俺が此処にいる限り、基地の範囲内の防衛装備を俺の意志で使える。」
「そんなことまで出来たのか!
・・・それを俺に教えて良かったのか?」
「今さらだろ?それにルクスが今更裏切るなんて思っても無いよ。」
「違いないな、ヨシノブを裏切ると妹が怖いからな。」
「おいおい、リーナちゃんの為か?」
俺とルクスは顔を見合せ笑いあう。
「妹に勝てる兄などいないのだよ。」
「そうだな。俺も頭が上がらないからな。」
互いに笑いながらも、一旦引き締め、
「絶対に勝つぞ。」
「負ける気はないよ、ルクスはゆっくり観戦したらいいよ。」
「まあ、実際そうなりそうなんだよなぁ。」
ルクスは苦笑していた。




