主神の前で
主神の元についたトートは事情を説明する。
「トート、何をどうしたらそうなるのだ?」
「私にもさっぱり・・・」
トートは主神と一緒にタメ息をつく。
「主神様、私何かやらかしましたか?」
ルールは主神のタメ息を見て、不味い事態だと少しは察する。
「何かじゃないのぅ、そもそも資格を持たぬ者が勝手にシステムを触ることすら許しておらんわ!」
ルールを主神が叱りつける。
「ひぃぃぃ・・・ごめんなさい!ごめんなさい!」
ルールは頭を地面に擦りつけて謝罪をする。
「しかし、トートよ、どうする?」
「地上にいる以上あまり手は出せませんし・・・」
「まずは勇者だな、しかし、これは調整がいるのか?」
主神は勇者の性能を見て、何が害悪か確認する。
「この死なない部分は改善しないといけませんね。」
「ふむ、死なない事が悪いのか?」
「ええ、敵もいないのに復活するのは生態系によろしくありません。
それにこれ寿命でも死ななくなってますし・・・」
ルールが与えた力は、教会で祈った時点のステータスに巻き戻る力だった。
その為祈らなかったら、年齢までも巻き戻ってしまう。
トートはタメ息しかでない。
「うむ、ならば勇者から不死を取り上げるとして、
聖女の魔法も封じねばなるまい、あのような力を使えば地上に不幸を招くだけだ。」
「しかし、力を失うと彼女の暮らしが成り立たないのでは?」
「それもあるが・・・」
トートと主神は頭を悩ませる、回収だけなら天使を送り込み取り上げてしまえばいいが、
天使を使って力を与える事はできない。
力を失うとその人の立場、暮らしが崩壊しかねない、代わりに何か渡そうにも地上にいることがネックになる、
しかし、神族たる我々が一度地上におりると百年は帰って来れないうえ、滞在中、善行を重ねなければ再び神界に来る事が出来ないのだ。
トートとしても地上におりたくはなかった。
「この世界を管理している方に地上に降りてもらいましょう!」
ルールは立ち上がり、まるで良いことを言ったかのように胸を張る。
「ルール、それは私に地上に行けと?」
「はい!だって、監督責任がありますよね。」
ルールは当たり前の事のように言う。
しかし、実際世界の調整の為におりなければ可能性が高かった・・・
「わかりました、私が降りて調整を・・・」
「待ちなさい、トートに今、此処を離れられては困るのぅ、
ルールよ、見習いとはいえ、お主でも充分こなせる仕事であろう。
そもそもの原因であるお前が地上に降り、勇者の不死の力の回収、聖女の力の回収とこの調整を行った回復魔法を授ける事を命じる。」
「えーーー!私はいやですぅ!」
「これは命令だ、行ってこい。」
「横暴です!こんなの許されない事ですよ!お父様に言いつけますから!」
「あーもう、さっさと行け!」
主神は地上に強制的に送り出す。
「ぎゃぁぁぁぁ、いやぁぁぁぁぁ!!」
こうしてルールは強制的に地上に送り出される事になったのだった。




