反撃
アホガンテの狙いはよかった、
しかし、対象を間違えたのである、
ダラダラと話しているうちに、ショウがヨシノブを連れて後ろに下がりアホガンテより距離を取り、ポーションを振り掛けヨシノブの応急措置が終わった。
ヨシノブが下がった所で怒りに燃えるシモの機関拳銃が火を吹く。
アホガンテは常時魔力で防御壁を張っていたが装弾数25発が撃ち終る頃には防御壁もぐらついていた。
その上、シモは直ぐ様、弾倉を交換して撃ち始める。
「ま、まて!戦争をするとはいえ、領内を出るまで攻撃は禁止のはず!」
アホガンテはシモに文句を言うが・・・
「シモは魔族じゃないから知らないのよ!
おとうさんに攻撃したものは塵に変わるのよ。」
二つ目の弾倉も空にして三つ目に突入する。
そして、パウルも拳銃でシモの攻撃が途絶えた時に援護、アホガンテは間髪いれない攻撃に反撃も出来ないまま、ついに防御壁が破壊される。
「ぐはっ!や、止めろ!」
アホガンテは無駄に頑丈であった。
しかし、シモの機関拳銃が止まる事は無い。
そして、膝を壊された俺も動き出す、パウルとオットーに機関銃MINIMIを渡し、
「オットー、シモの援護を!
パウルはアイツの取り巻きを撃て!
シモは少しずつ、距離を取るんだ。
関係無い魔族の方は離れてください!
ショウ、通信をまやにいるミキに警戒を伝えるんだ!」
全員、俺の指示に従い動き出す。
しかし、艦では少し違った・・・
「ミキ姉、敵はアホ何とかです、あの向かいの船がそうなります。」
カールとハンスはすべての魔族の船、宿泊所を事前に調べていた。
「えっ、何をするの?」
「おとうさんが襲われたんですよ!奴等に裁きを!」
「でも、警戒命令だよ?」
「気のせいです!
現在、おとうさんはアホと交戦中です。私達も交戦にうつる必要があります。
・・・それともミキ姉はおとうさんをうらぎるのですか・・・?」
カールの眼から光が消えている。
「こ、怖い事を言わないでよ!裏切る筈が無いでしょ!命令の確認をしただけよ!」
「そうですか、なら良かったです、一先ず陸から離れて交戦に入りましょう。
おとうさんはヘリで帰って来ますから、安心してください。」
ミキは言われるまま、艦を出航させ、アホガンテの船を射程に入れると・・・
二人は手際良く攻撃準備にうつる。
「主砲、62口径5インチ砲、目標捕捉!
発射準備完了!」
「三連装魚雷、発射可能!」
「「ミキ姉、いつでも撃てます!」」
「いや、攻撃許可は・・・」
「「撃てます!!」」
二人の威圧する声に負け、ミキは発射を許可する。
「は、発射・・・」
「主砲、62口径5インチ砲撃ち方はじめ!
くっ!目標、障壁がある模様、着弾するも艦の破壊ならず!
続けて撃ちます!」
「三連装魚雷発射!こちらに障壁は無い模様、船底に穴を開けました!
こちらも連発します!」
「え、えーと・・・もう沈むのでは?」
二人の眼はミキを一度見たが、
ミキの声は聞かなかった事にされた。
「主砲発射!障壁確認出来ません!目標に着弾!甲板の粉砕を確認。」
「三連装魚雷、目標に命中、目標原型留めず!撃ち方停止します!」
「20㎜機関砲、海面の浮遊物に斉射、ゴミの処分にうつります!」
「いや、それは止めようよ・・・」
「撃ち方はじめ!」
「えぇぇぇ・・・止まらないよぉ~」
ミキは止めることも出来ず、アホガンテの船は跡形もなく消え去るのだった。




