マインズ王国、リーナ再び
翌日、マルコス商会に納品をしていると城からお茶会の誘いが来た。
相手はリーナ王女だった。
今回、ルクスは来ていないので俺はサリナと一緒に城を訪ねる。
「ヨシノブさん、ようこそお越しくださいました。」
「リーナ王女、お招き感謝致します。」
リーナと一緒にいたのは前回と同じマインとアルルだった。
「あら、ヨシノブさんの恋人さんですか?」
リーナは眼を輝かせて聞いてくる。
「わ、私は・・・」
少し言いよどむサリナの代わりに俺が答える。
「はい、俺の恋人ですよ。」
「あらあら、おめでとうございます!」
リーナは満面の笑みで祝福してくれる。
「ありがとうございます。
あっ、これは今回の土産にございます。どうかお納めを。」
俺は深く突っ込まれる前にお菓子を差し出す。
リーナ達三人の眼が輝く。
今回は店で取り扱えない、日持ちしないものを持ってきていた。
「これは・・・」
三人は一心不乱に出されたケーキを食べ始める。
そこに国王ルーズがヨシノブが来ている事を聞きやって来た。
「こら、リーナ、はしたないぞ!マナーをちゃんとせんか!」
「お、お父様!どうしてここに!」
「ヨシノブが来ていると聞いて、やって来てみれば・・・」
「こ、これは違うのです!ヨシノブさんのお菓子が美味しすぎるのが悪いんです!」
「それは理由になっておらんだろ!」
「まあまあルーズさま、リーナさまのいうとおり、私のせいですので、今回は許してあげれませんか?」
「仕方あるまい、リーナ、ヨシノブによく感謝するのだぞ。」
「ありがとうございます、ヨシノブさま!」
リーナはほっぺたにクリームをつけたまま、笑顔でお礼を言ってくる。
それを見たルーズは頭を抱えるのであった。
「リーナ、ヨシノブを少し借りていくぞ、リーナ、サリナ嬢をもてなすのだぞ。」
「わかりました、お父様。」
俺はルーズに連れられ別室にいく。
そして、ルクスの近況、預かった兵の事を話し、そして、魔王領について聞くのだった。
「なるほど、訪れることは出来るのですね。」
「うむ、だが、あの国では人族を迫害しておるからな、もし、いくなら気をつけて行くのだぞ。」
「ええ、準備をして行きたいとは思います。」
「うむ、必要な物があれば言うがよい、準備してやろう。」
「ありがとうございます。」
「礼には及ばん、ワシだけでなく娘も世話になっておるからな。」
ルーズは大きく笑う、
どうやらリーナの事は怒っていないようだ、
どちらかと言うと娘の普段見られない態度を見て楽しんでいるようだった。
「私もリーナ様の笑顔に癒されてますから。」
「そうか、これからもリーナを楽しませてくれんか?」
「ええ、とはいえ、お菓子で喜ばれる間だけですね。」
「女性はいくつになっても菓子が好きな物よ。」
ルーズは終始上機嫌で笑っていた。
こうして俺のお城訪問は終わるのだった。




