ショウ初の海戦
俺がサリナと心を交わしている時・・・
「ヨシノブさんに連絡を!」
ショウは船に戻り、ヨシノブと連絡をとり、皇太子と遭遇したことを伝える、
「なるほど、直ぐに行こうか?」
「いや、僕もこのまま島を離れます。」
「わかった、気をつけて。
何かあれば直ぐに援護に行くから。」
ヨシノブと通信を終え、出航する。
何か邪魔が入るかと思えば思ったよりスムーズに島を離れる事ができた。
島が見えなくなり、マインズ王国へ進路を進めていると、三十隻の船が待ち構えていた。
「・・・海賊じゃないよね。」
俺はマロニーさんに確認をとる。
「明らかに軍人ですね。
船の形を見るところ、帝国軍ですな。」
「これを沈めたらどうなるかな?」
「生き残った者に帝国軍を襲ったといわれかねませんね。」
ショウは悩む・・・
敵艦の動きを止めただけだと、後日帝国が難癖をつけてくるに違いない。
いっそ、無視してしまおうか・・・
「艦を西に向ける、あいつらをふりきる!」
しかし、避けようとした方向にも敵艦の姿があった。
「既に囲まれているのか・・・」
後方にも敵艦の姿が見える・・・
「停戦するように旗を上げております。」
止まれば、何をされるかわからない、船に上がられるといくらマロニーと100人の兵がいるとはいえ、数の暴力で敗けるだろう・・・
ならば接近するのを待ってはいられない。
「マロニーさん、敵艦を撃破します。」
「ショウさん宜しいのですか?」
マロニーは止めようとするが・・・
「既に囲まれてしまいました。
停戦して船を明け渡す訳にはいきません。」
ショウの脳裏によぎるのは敵兵の死だ、
ここは陸地からかなり離れている。
沈めれば、生き残る可能性は少ないだろう・・・
だが、船を止めて奴らに従ってどうなる。
俺が捕虜になるだけならまだいいが、
マロニーさん達マインズ王国の兵士はどうなる?
それにミキは・・・
女性が捕まった際、どうなるかは考えるまでもない。
もう二度とミキが望まない事をさせる気はない。
どんな事になろうともだ。
「マロニーさん兵士を中に、ミキ交戦する。ヨシノブさんに連絡を入れてくれ。」
「ショウ・・・」
ミキはショウの手を取る。
「・・・私の為にありがとう、でも、その罪は私も背負うわ。
一緒に戦いましょう。」
ミキはショウの覚悟を理解していた。
そして、自分の手を血に染める覚悟をしたことすらも。
「ありがとう、ミキ。」
ミキはショウの手を握りつつも、ヨシノブに連絡する。
「ヨシノブさん、私達は帝国艦隊に囲まれました。
これより交戦にうつります。」
「待て、俺が直ぐに助けに行くから・・・」
「すいません、時間が無いみたいです。
帝国と戦争に入ることを許してください。」
「そんなことはどうでもいい、
二人とも、覚悟はいいのか?」
ヨシノブは引き金を引く覚悟を聞いた。
「はい、私とショウは覚悟を決めました。
これより戦闘にうつります。」
「わかった、後の事は気にしなくていい。
二人の思うようにしてくれ。」
「はい。」
ミキの通信が終えたところでショウは戦闘にうつる。
「SM-6発射、狙いは敵艦中央、吹き飛ばせ!」
ショウの命令でSM-6は発射、敵艦を粉砕する。
「魚雷発射!海の藻屑となって!」
ミキは魚雷を使い、敵艦の船底を破壊、沈めてしまう。
「主砲、目標捕捉、撃て!」
距離のあるうちに多数沈めた上で、62口径5インチ砲が船底めがけて撃ちまくる。
60隻あった帝国船は全て海に沈む、その光景にマロニーすら開いた口がふさがらなかった。
「・・・くっ。」
ショウは仕方なかったとはいえ人を殺した事に涙を流していた。
「ショウ、大丈夫よ。私も同じだから・・・」
ショウとミキは二人寄り添い、予定を変えて、マルドラド基地を目指すのだった。




