調査
水を飲んだ事で住人達も元気が出てきたようだ、それぞれ、いろんな入れ物に水を求めてやってきた。
そして、感謝の言葉を述べていく。
「ひとまず、これで良いけど、ショウくん、先に調査をお願い出来るかな?
俺はもう少し住人の相手をしているよ。」
「わかりました。じゃあ、俺達は明日から調査に入ります。」
「ショウくん、無理はするなよ。」
「わかってます。」
本来なら俺も行く所だったが、この状況では船から離れる事が出来なかった、とりあえず水不足の解決に集中することになる。
一方、ショウとミキ、オズ、マロニーと兵士二十人は案内人のアンネ達を連れて山に向かった。
道中、魔物も出るが・・・
「ショウ、ミキ下がってろ。オークだ。」
オズが先頭に立ち、兵士達はショウとミキを守るように配置されている。
オズの戦闘力は凄まじく、一撃で魔物を倒していく。
「オズさん、凄い腕前ですね。」
ショウは目を輝かせてオズに話しかける。
オズは少し照れ臭そうに、
「なに、剣の切れ味がいいだけだ!さあ、先に進むぞ!」
オズは少し足早に進むのだった。
アンネが山の中腹にある洞窟を指差し、
「ここだよ、この洞窟の奥で見つかったんだ。」
「この奥ですか?」
「そうだよ。」
ショウ達は中に進んで行く。
「何故あなた達はこんな所に?」
「・・・少し伝承を調べていたら、口伝えで続いている話に此処に宝があるって聞いたんだよ。」
「それでそれを見つけたと。」
「ああ、奥の床に落ちていたんだ。」
「その床の近くに何かありましたか?」
「他には落ちてなかったと思う・・・あっ、ただ、不思議な穴が開いていたよ。」
「不思議な穴ですか?」
「ああ、穴の向こうに何か見えるけど、景色が変わるんだ。」
ショウはその穴が日本、もしくは地球に繋がっている可能性を考えていた。
「ついたよ、此処で見つけたんだ、さっき話した穴はあれだよ。」
アンネが指差した所は、背丈より少し高い所だが、確かに穴が開いているが20センチ程と小さく、くぐって行くことは出来そうになかった。
「確かにそれに景色が見えるね。」
ショウが穴を注視していると、ミキは携帯を確認していた。
「ショウ!ここ電波来てる!」
「えっ?」
「あっ、消えた・・・」
暫く確認すると景色が変わる度についたり消えたりしているようだった。
そして、景色が変わるのにだいたい5分ぐらいかかるようだった。
「ミキ、電波が入ったタイミングでメールしてみてくれるか?そして、景色が変わったら何回か試して貰えるかな?」
「うん、それでどうするの?」
「電波の基地局を調べて貰うんだ、そしたらこの穴が何処に繋がっているかわかると思う。」
「わかった、試してみる。」
ミキが試している間にショウは通信機を使い、俺に連絡してきた。
そして、現状の説明を受ける。
「なるほど、つまり日本に繋がっている可能性があるんだね。」
「はい、ただ、小さくてそれをくぐっては行けないと思います。」
「何か棒のような物でフチを触ってみてもらえないか?触ればどうなるか知りたい。」
「わかりました。」
ショウは棒を用意してさわろうとするが、マロニーに止められる。
「ショウさん、貴方がすることはない、危険な事は我らがしますので。」
「そんな!」
ショウは不服そうだったが、兵士は率先して、代わる。
「では、いきます、良くみていてください。」
兵士の一人が棒で外から触ると一定の所で動かなくなる。
次に内側からゆっくりフチに近づけると棒が豆腐のように切れた。
「ヨシノブさん、棒が切れました。」
「そうか、ならその穴を使った物資の輸送は無理そうだが、その穴を使えば連絡は出来そうだ。
よし、その穴周辺の土地を買い取ってくる。ショウくん達は一度戻ってくれ。」
「わかりました。」
調査の結果では帰る事は出来なかったが、
この世界と地球の繋がり・・・
帰国出来る可能性が無いわけではないと感じていた。




