第1話
「何度見ても、自分が作ったキャラだな~」
水面に映った顔を見て俺は一人呟く。
腰まで届く絹糸のようなサラサラな銀色の髪には、毛先に青色のメッシュが入っている。
目は大きく綺麗な空色の瞳をしており、くっきりと二重で睫毛も長い。眉は綺麗に整えられて、綺麗な弧を描いている。
鼻筋も通っており、Eラインに唇が触れないような高さで調整したが、それが見事に再現されていた。
唇もみずみずしく艶があり綺麗な薄い桜色をしている。
「う~む、俺様、ナイスな仕事」
そう自画自賛して胸を張ると2つの果実がそれに合わせて揺れた。
体格を決める時、最大値にはしていなかったが、それでもそこそこ大き目にしていたためかなかなかのボリュームである。
腰はそこまで細いのが好みでは無かったので、くびれが出来る位のほどほどの細さにしたが、実際触ってみると、男の時の自分の半分位じゃないか?と思えるほど細かった。
臀部はキュッと引き締まり、しかし女性特有の柔らかさも兼ね備えていた。
いわゆる、出る所は出て締まる所は締まっている体付きである。
「巨乳は重くて肩が凝るって言うけど、今ならその気持ちすっごい分かるわ……」
自分の胸を軽く持ち上げてしみじみとつい呟いてしまう。
一通り自分の事を確認した後、再び現状を確認してみる。
(いつものようにゲームしてると、急に眠くなってそのまま寝落ち。
寒いなって思って目を覚ましたら、外だった。
喉が渇いてたから、ちょうど近くにあった川の水の飲もうとして、立ち上がる時に二つのたわわな果実に気が付いて、川で確認したらゲームの自キャラになってたと。
うん、これはいわゆる異世界転移ってやつだわな。)
と、先程と同じ結論にたどり着いた。
(って事はテンプレなあれもあるのかな……)
「えっと……、メ、メニューオープン?」
そう発言し終えると、ゲームで何度も聞いた音と共にタスクバーが表示された。
そこには左から、ステータス・所持品・スキル・アビリティ等、見慣れた文字が並んでいた。
(やっぱりここはSEEDの世界なのか?)
SEED。それが俺のプレイしていたMMOの名前だ。
種から花を咲かせる用に、自分を育て、交配で新たな種を作りだすように、スキルやアビリティを組み合わせ新たな物を生み出す事が出来るゲームだ。
(とりあえずステータス確認だな。)
そう思いステータスと書かれている所を触れようとする前に、ステータス画面がパッと表示される。
どうやら思っただけで反応するようだ。
(どれどれ………。)
ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーーーー数時間後
ある程度、確認と検証を終え、俺は一息ついた。
能力値はちゃんと見てなかったから覚えてないが、種類はゲームと一緒。
名前、レベルは自キャラのものと一緒で、性別はちゃんと女性だった。
ジョブは初期の村人。
年齢の14には少し驚いた。
他に身長、体重にスリーサイズまであり、健康診断の結果みたいと思った。
装備は、武器が聖剣デュランダル。設定を非表示にしてるからか見えなかったが、心の中で呼べば出てくるっぽい。実際に呼び出して、その軽さに驚き、次いでその尋常ならざる斬れ味に驚いた。
防具はシルクのチュニックとスカートにポーチ付きレザーベルトにレザーブーツと、寝落ち前にしていた装備だった。
残念ながら所持品には何も入っていなかった。検証の結果、入れれる物は生き物以外、触れるか2、3メートル程の距離ならば収納出来る方が分かった。
スキルとアビリティはゲームと同じものが使えるようだ。ただ、ゲームだとそれぞれ使用するのに必要ポイントが決まっており、上限のポイントまでしか装備出来なかったのに、どうやら上限が無いらしく、全て装備されていた。
マップもあったが、ゲームと同じで自分が踏み込んだエリアしか表示されないらしく、今いる川周辺しか表示されていなかった。ただ、ゲームと同じで何処に村があるとかは表示されるようだ。因みに今いる場所はゲーム内では見かけた事が無い地域だった。
(さて、自分の状態は確認出来たが……とりあえず、この世界の情報が欲しいな。どれ位距離があるか分からないけど、一番近くの村に行ってみるか。)
マップを開きつつ、今の状況から、とりあえずの目標を決め、行動する事にした。
「よし、じゃあ行くかっ!」
わざと声を出して気合を入れる。が
ふみっビン
「うえっ!?」
慣れないスカートの為、裾を自分で踏んでしまいバランスを崩し
「え、あ、ちょっ!?」
バシャーーーーン
っと頭から川にダイブする事になった。
それが天川聖改め″セイ・ミルウェイ″の異世界での記念すべきスタートである事を知る者は誰もいない………。
アルファポリスさんにて投稿し始めた作品です