光に呑まれゆく我々を
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。神の国へ。
狂おしいくらいに切望するその祈りが、今、成就する。
準備期間は長いのに、審判の時間は短い。今までを振り返り、私はそう思った。
たった6ヶ月。細かく言えば167日。決着がついた。
「終わりましたね」
「あぁ、そうじゃな」
私の呟きに大老が頷いた。
水平線の向こうにあってもわかる。中央大陸が光の柱を立てて、審判の終わりを告げている。勝敗は決したのだ。
どのクランが勝ったか、それを私は聞いていた。たったひとり、両手を失ってなお駆けたカヴェリエレが終結点にて、贄という原始的な儀式でもって神への祈りを捧ぐと叫んで自らの命を捧げた瞬間を。その贄を祈りとして承認した神々の荘厳な声を。
――勝者は、"ニウィス・ルイナ"。その信仰でもって罪を赦そう。
世界中に響き渡った神々の声を、私は背筋を伸ばして聞いていた。
これで。これで我々の願いは叶うのだ。さぁ行こう。神の国へ。神の国へ。神の国へ!!
狂おしいくらいの切望が叶う。生まれた時から抱いていた願いが、今。
「…………あぁ」
神の国へ至る階段が天から降りた。私はそう思った。
歓喜でもってそれを受け入れ、私は光に呑まれた。
それが私の最期であった。
いや、最期ではない。肉体を捨てて、そして、魂のみで神の国へと至るのだ。
肉体は服や装飾品でいくらでも飾れよう。しかし魂は飾ることができず、その人物のありのままが映し出される。そう教えを聞いたのはいつだったか。私が子供の頃、いつかの授業の日だったと思う。
だから神の国へ至る時は肉体を捨てて魂のみになるのだと教師が教えてくれた。それは死ではあるけれど終わりではなく、恐れる必要などないのだと。
だから大丈夫。神の国へ至る時はそれを受け入れなさいと。もし、再信審判に関わらず死ぬ時であっても、それは次のための投資なのだから、と。死は怖いものではなく、次のステップへの踏み台なのだと。
だから私はそれを受け入れよう。死という踏み台を越えて、神の国へ。
大老が光に呑まれた。アグリネが光に呑まれた。ベウラー夫妻が光に呑まれた。ガーディナーが光に呑まれた。ピスカトルが光に呑まれた。ウェナトルが光に呑まれた。アグリコラが光に呑まれた。ファルマが光に呑まれた。ヘクスが光に呑まれた。レーラル女史が光に呑まれた。メルカトールが光に呑まれた。カーペンターが光に呑まれた。ポーヴァルが光に呑まれた。フォレスが光に呑まれた。アルツトが光に呑まれた。マテリコルが光に呑まれた。シュミットが光に呑まれた。コウクスが光に呑まれた。ソルカが光に呑まれた。レンが光に呑まれた。カドゥが光に呑まれた。レンティルが光に呑まれた。ハーレリナが光に呑まれた。カヴァランが光に呑まれた。ランドトールが光に呑まれた。ダスクが光に呑まれた。コンダルガが光に呑まれた。ディアコレクが光に呑まれた。コーサルが光に呑まれた。ケドサクエドが光に呑まれた。アスティルートが光に呑まれた。マトリューが光に呑まれた。メリアフリーが光に呑まれた。アンジーが光に呑まれた。ファファが光に呑まれた。ロトリルが光に呑まれた。イノーニが光に呑まれた。イルーシが光に呑まれた。フライが光に呑まれた。パタウィが光に呑まれた。ニコデクスが光に呑まれた。ティラピアツが光に呑まれた。ニツニャルが光に呑まれた。ジュロが光に呑まれた。ヴァンダルシアが光に呑まれた。カリラが光に呑まれた。アースラが光に呑まれた。ペドゥが光に呑まれた。トロックが光に呑まれた。ジルクラが光に呑まれた。ウルカンが光に呑まれた。キーストが光に呑まれた。タンドアラが光に呑まれた。ヴィズトが光に呑まれた。ナロウとメロウが光に呑まれた。マーナリカが光に呑まれた。ヴェンデッタが光に呑まれた。ヴォルフが光に呑まれた。アンヌが光に呑まれた。ジョルノが光に呑まれた。セルベスが光に呑まれた。ハルトが光に呑まれた。ハインツが光に呑まれた。ノックルが光に呑まれた。カイベルが光に呑まれた。グウィネヴィアが光に呑まれた。アルマンダが光に呑まれた。マリエルが光に呑まれた。ヘンドリクセンが光に呑まれた。ノルドが光に呑まれた。ロロットが光に呑まれた。ユスティーナが光に呑まれた。ユルヴィルが光に呑まれた。キャンベラが光に呑まれた。ディベルトが光に呑まれた。ヴァルキが光に呑まれた。ナターシャが光に呑まれた。メルローズが光に呑まれた。スヴェトが光に呑まれた。スティーブンが光に呑まれた。ユトリロが光に呑まれた。ベッツィが光に呑まれた。シャルドスが光に呑まれた。ラウディンが光に呑まれた。ブルーフォードが光に呑まれた。クロウドが光に呑まれた。キトラが光に呑まれた。ヴィジランスが光に呑まれた。アズレースが光に呑まれた。ラヴィナが光に呑まれた。ツヴィンガが光に呑まれた。サウロップスが光に呑まれた。イェトロが光に呑まれた。コーネリアスが光に呑まれた。ソーグリンドが光に呑まれた。トビアラが光に呑まれた。スッドレが光に呑まれた。ドラヴィダが光に呑まれた。ドーリアスが光に呑まれた。ラウディアが光に呑まれた。アイフィールドがが光に呑まれた。ノルバートが光に呑まれた。シェルナが光に呑まれた。フォルスが光に呑まれた。ミラベルが光に呑まれた。ダナが光に呑まれた。ユイが光に呑まれた。ダフネが光に呑まれた。カンナが光に呑まれた。ファストランターが光に呑まれた。ジョルトが光に呑まれた。ディリが光に呑まれた。アリサが光に呑まれた。フィレンツェが光に呑まれた。エンジェルが光に呑まれた。ハイルが光に呑まれた。メレンデスが光に呑まれた。ユージーンが光に呑まれた。ディアが光に呑まれた。タチアナが光に呑まれた。シングヴァルドが光に呑まれた。シャルヴィスが光に呑まれた。シングヴァルドとシャルヴィスの間に昨日生まれた名付け前の赤ん坊が光に呑まれた。
フィニスの地で戦っていた兵士たちも、きっと。ミーレスも、ルベラナも。ナフティスも光に呑まれたろう。
リグラヴェーダは、ただ、それを見守っていた。
いってらっしゃいと囁く声はまるで嘆くような声音だった。どうしてだろう?
真意を問う前に、私の魂は神の国への道を駆け抜けていた。




