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地理の授業『6の勢力と支配地域』

食糧事情の現状良し。レパートリーがないのは良くないが、ともかく飢えることはないという意味で。

食糧事情に安心したところで、様子を見ておきたいものがもう一つ。子どもたちだ。レーラル女史が面倒を見ている7人の少年少女たち。

領館にあがってくる報告を聞く限り、町の学校施設を修理してそこを教室として勉強しているそうだ。


子どもたちの声が聞こえる方へ。角を曲がれば小さな校舎があった。

狭い土地を有効活用するために四角を積んだような長方形の建物が並ぶ町並みの中、校舎は珍しく平屋建てだ。小さいながら運動場らしいところもある。

この町を作った人物は教育に力を入れていたのだろう。後進を育てることは重要なことだ。かつての指導者の人物像を想像しながら校舎の中へ。

玄関ポーチをくぐってすぐ、一番手前の教室が教育の場だ。


「レーラル女史、調子はどうですか?」

「あらあら。ライカ様。また見学なさいますか?」


皆が良ければ、と許可をもらって教室の隅の一席に座る。今日の授業は地理の授業なのだそうだ。

概要としては、世界に生きる6の亜人とそれらの支配地域についてだそう。学校で授業を受けるというのも懐かしいなぁと思いながら、その講義に耳を傾けた。


「この世界にはヒトの他に6の亜人がいます。どんなものがいるかわかりますか?」

「はいはーい! スルタン!」

「はぁい、ヴァナくん正解」


目の前にいるから真っ先に挙がるだろう。ほのぼの笑うレーラル女史は少年の頭を撫でる。


そう。水のクラン"コーラカル"の主要構成種族であるスルタン族。レーラル女史もまたスルタン族だ。

水神を信仰し、知識を重んじるスルタン族が中心となって水のクランは立ち上がった。その信仰でもって彼らは再信審判に挑む。


「他には?」

「えーっと、竜族でしょ! ソルカがそうだもん!」

「えぇ、そうですねぇ」


竜族は土のクランのほとんどを占める。古の教えを重んじて再信審判には非積極的だが、一度牙を剥けば竜のごとく荒れ狂う。

その竜族の最も特徴的なのが額の角だ。額から後頭部へ、後ろに流れるように頭に沿って生える角は竜族の誇りであるという。竜族の少年であるソルカにも短いながら角が生えている。

竜族の支配地域は南東大陸の南方。ちょうど南半分だ。中心には峻厳な山があり、その山の名前をクランの名として掲げている。堅牢なる土のクラン"ドラヴァキア"だ。


「レンだってキロ族じゃん」

「そうだけどさぁ!」


キロ族は火神を信仰する。キロ島を支配地域に置くキロ族が中心となって立ち上げられた火のクランはまさに火のような苛烈さをみせる。苛烈で過激な彼らは再信審判の常勝クランだ。


ベルベニ族は風神の奔放さを示す風のクラン。ナフティスがまさにそうだ。

自由な彼らは旅を愛する。ひとところに留まることのない放浪の一族なのだ。だから固有の領土も持たない。それぞれ気ままに好きな場所に住み、好きなクランに所属する。

だが風のクランとして動く時はその暗殺技術が猛威を振るう。どんなに堅固に閉めても隙間から入ってくる隙間風のように、ひっそりと忍び込んで事をなす。


そして雷のシャフ族。砂漠の厳しい気候で生きる彼らは強靭な精神を持つ。

私はあまり詳しくないが、風で舞い上がる砂が口に入らないようにと独特の言語を話すという。

彼らは世界の南西のクレイラ島を支配する。そこでは雷の獣が雷の民を守護するのだという。


最後に、樹のクランを代表するアレイヴ族。南東大陸の東、ミリアム諸島を支配地域とする。


スルタン、竜、キロ、ベルベニ、シャフ、アレイヴ。以上の6つの種族がそれぞれ6勢力を立ち上げ、そして再信審判を争う。

以上が再信審判に参加する勢力の概要だ。再信審判に参加しないものの、これに加えて氷の民が入る。


この6勢力の承認を得なければ再信審判には加われない。きちんとひとつの勢力であることを示し、正当な参加資格を持っていなければ他勢力を蹴散らしたところで神聖なる審判を荒らす不敬者だ。

今のところ6分の0。道は遠い。そのくせ再信審判の始まりまで時間はそうない。急いでクランとしてしっかりと立ち上がらなければ。そのためにもナフティスや海賊討伐の成果には期待している。


「では、今日はアレイヴ族について勉強しましょうねぇ」

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