新たな旅立ちの予感
「おはよ~」
あの事件から数日。また何も変わらない生活を送っている。
それにしても、あの出来事は何だったのか。
あの竜はなんだったんだ?
目の前で子供が引かれて、気が動転して妄想でもしちまったのかな。
あの子供は生きてたんだし。忘れよう。ちょっと夢を見ただけだ。
「そらー早くしないと学校遅れるわよ」
母さんだ。
もう7時30分か、学校行かなくちゃ。
急いで李便のあるパンをパクリ。
また暗いニュースがやってるよ。
毎日たくさんの事件だ。一高校生には関係ないや。
学校へ急ごう。
学校の帰り、聞こえた消防車の音。
「なんだなんだ、あっちだ、子供が家にいるらしいぞ」
街ゆく人が騒いでいる。
マンションが真っ赤な炎に包まれ、黒い煙が空へと立ち上っていた。
思い出した。
救えるなら、あの世界に行くしかない。
そう思って、目を閉じた。
「おかえりなさい」
白い竜が目の前に現れた。
やっぱり、俺の妄想とか夢なんかじゃないのか・・・
真っ赤に燃える山の麓に、俺は立っていた。
そして、鬼と出くわした。
「これが、マガモノなんだろ?」
「そうだよ。炎山に住む火鬼だね。」
「倒せば、火事収まるんだよね」
「そうだね。でも、強いよ」
「子供の命がかかってるんだ、必ず倒す」
真っ赤な鬼が襲ってきた。
火を噴き、長い爪が襲う。
速い!避けるのもやっとだ。
前みたいに剣を出したいけど、詠唱できそうにないな。
「おい!白い竜!どうすりゃいい?」
「魔法使えるだろ。お前、自分の霊力の高さ知らないの」
「しらん!魔法とかどうやるんだよ、詠唱できないよ」
「無詠唱でも出せるんじゃない?まぁ、言われたとおりにやってよ」
「はーやーく教えて避け続けられないから」
「はいはい。まず、火鬼を指さして」
「はいっ」
「次に指先に集中して、ほら、熱くならない?」
「なった!」
「したらね、ドラグフレイムっていってごらん。」
「ド、ドラグフレイム!」
爆音とともに俺の指先に一瞬赤い光が走り、火鬼の体が炎に包まれた。
火鬼は消えた。
「倒した!」これで火事は収まるよな!?」
「たぶんね。」
そっか!じゃ、戻るね!」
「待ってよ、セイル」
「なに」
「今夜、こっちの世界に来て? 力を貸してほしいんだ」
「わかったよ、夜ね、夜目をつむってこっち来るから!ありがとね、じゃ、また!」
そして、こちらの世界へ戻ってきた。
火は地から吹く風と共に青い空へと立ち上り、消え去った。
子供も無事だった。




