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前日




「「すみませんでした!」」


「全く……怒ってたとしても少しは自重してくれよ」

「でもマスター、嘘ついてたじゃん!」

「そうですよ。何で可愛い子ぶってたんですか?」

「いや、まぁ、うん……そ、それより、今日は女王のところに泊まっていくから」

「ダメだよ! マスター!」

「そうですよ! まだマスターは17さ……ガフッ」


変なことを言い出したゼンに、飛び蹴りを食らわす。


「はぁ……。馬鹿か! ただ天使狩りの時の算段を話し合うだけだ」

「え! でも何が起こるか分から……」

「何も起こらないわよ、まったく。雪哉、貴方の奴隷への教育、どうなってるのかしら?」

「奴隷じゃねぇよ。こいつらは従者(サーヴァント)

「あの、女王様? ……何かいつもと雰囲気違いますね」

「はぁ……ゼン、貴方達のお陰で疲れてるのよ。高貴ぶるのも面倒くさいしね」

「とりあえず転移(ゲルム)で宿まで送ってやるよ。今日はゆっくり休め。明日の午後3時に、また城まで来い」

「「はい」」

「じゃあな、転移(ゲルム)


呪文を唱えた瞬間に、従者(サーヴァント)達の下に魔法陣が現れ、すぐに消えた。

魔法陣が消えると共に、従者達は姿を消して行った。


「まったく、貴方の奴隷……いや従者だっけ? 本当に面倒くさい性格してるわね。貴方に買わせる様に仕向けたのは私だけど、失敗だったかしら?」

「失敗では無いと思うぞ? 現にゼンは、お前の所でしっかり働いているだろ?」


すると女王(ソフィア)は、棚からワインを取り出し、俺に勧めてきた。


「貴方もどうかしら?」

「未成年の飲酒は禁止だろ? 」

「法律ではそうだけど……ならいいわ。飲まない?」

「いや、飲む」


そしてソフィアからグラスに入ったワインを受け取った。

どうやら赤ワインの様で、一口含むと渋い味がした。

女王なのだし、どうせ高級品なのだろう。

ざっと10万円はするのかもしれない。

いや、10万円ぽっち気にも留めないだろう。

ならもっと、高いのか? 100万とかな?


「高そうなワインだな」

「ざっと黄金貨一枚くらいね」

「凄い高いじゃねぇか。金、取んなよ」

「取らないわよ。私が勧めたんだしね」


そしてソファーに腰掛け、ワインを堪能する。

と言っても、俺は高級な味なんて分からないからそこまで美味しくはないんだが。


「はぁ……今日はクソ疲れたわ〜」

「俺もだ。思ったより、従者が強すぎたようでね」

「本当よ。あの力は規格外よ」

「それ、お前が言うか?」


冗談を交えながら、淡々と会話をしていく。


「でも、少し異様な程強かったわね……」

「あ、ああ。あそこまで強いとは…… 城も所々崩壊したしな」

「何より城に張り巡らされた、強力な結界を破った方が大問題よ」

「そうだな……」


確かに妙すぎるな。

この短時間で、ここまで成長するなんて……

ちょっと疲れたので娯楽がほしい、と近くにいたフクロウを抱きしめて撫でる。

うん、抱き心地が良い!


「そのフクロウ、名前決めたの?」

「まだだ」

「へぇ〜 それ男の子よ。カッコいい名前の方が良いんじゃないかしら?」

「そうだな……いっそフレアでいいや」

「フレアってどちらかというと可愛い名前だけど……まぁ良いわ。フレアで良いんじゃない?」

「ん。じゃあフレアね〜」


そういえば、明後日が天使狩りなんだよな。

死ぬ可能性もある……危険な戦いだ。

従者達を生かせるべきか、否か……


ま、あいつらならきっと俺の有無を問わずついてくるだろう。

なら考えるだけ無駄かな。


「天使狩り……凄く怖いな……」

「あら? 珍しく弱気ね」

「珍しいか?」

「ええ。いつも私の前では、カッコいいキャラ作ってるじゃない」

「ちげっ……これが素なんだよ!」

「ムキになっちゃって。可愛いわね」

「うるせー」

「キュイ!」

「ん?」


すると突然、フクロウ……フレアが鳴いてきた。

そういえば、フレアは自然に俺の従魔になったんだよな。

だから魔力の繋がりを感じる。

そこからフレアの意思が伝わってきた


「フレアも天使狩りに参加したいのか?」

「キュア!」

「まじか……」

「連れて行けばいいじゃない。ラストオウルよ、世界最強の」

「へいへい。女王、お前はその日どこにいるんだ?」

「私? 私はトーラスとの国境付近の天使を狩りに行くわ」


トーラス。

それはこの国、ラーストルの東に位置する国だ。

ちなみに西に位置する国はユートルムで、南に位置するのはキルムヘルブ。

北に位置するのは、この世界で最も大きい国、テスムだ。


この星も地球と同じで、球体になっている。

そして今、俺がいる星がステムリバルというらしい。

本当に地球とあまり変わらない……


「はぁ……今日は疲れたわ。もう寝る」

「あら、早いのね。まだ10時じゃない」

「どこが早いんだよ。良い子はもう寝る時間だ」

「はいはい。ならあそこのベッドを使っていいわよ」

「え? ならお前は何処で寝るんだ?」

「私はソファーで良いわよ」

「いや、俺がソファーで良い」

「来客をソファーで寝させる訳にはいかないわよ」

「はぁ……じゃあ同じベッドで2人で寝よう。凄いでかいし。俺が端っこで肩が触れる事もないからな」

「ま、それなら良いわ」

「んじゃ、おやすみ。フレアもおやすみ〜」

「おやすみ」

「キュピ!」


そして華麗にベッドにダイブし、意識を手放した。






翌朝、目が覚めると……


「おはよう、雪ちゃん」

「お、おはよう……ソフィア。朝早いな……」


起きたらベッドの横にソフィアが立っていた。

ソフィアは意外と、朝起きるの早いんだな。


「そうかしら? もう8時よ」

「マジか……」

「キュピ!」

「うっ……おはよう、ソフィア」


するとフレアが突然、顔面にしがみついてきた。

爪が僅かに食い込んでいる……

痛い!


「ちょっ、ちょ、離れて、フレア……」

「キャピィ……」


俺がそう言うと、フレアは不満そうに俺の肩に飛び移った。

あ、俺から離れようとはしないんすね。


とりあえず、ドレッサーの鏡の前に立って櫛で髪をとかす。

そして、髪の横側の部分を三つ編みにする。

これで可愛い雪ちゃんの出来上がり。

なんて冗談はさておき……


「では本題に行こう。明日の天使狩り、俺は何処で戦えばいい? 」

「キルムヘルブとの国境付近で戦って欲しいわ」

「キルムヘルブ? ラーストル(この国)の南にある国か?」

「そうよ。後、キルムヘルブとの国境付近の天使狩りを終えて時間が余ったら、キルムヘルブの街とかに、助太刀に入ってほしいのだけど……」

「あ? タダ働きしろってか? キルムヘルブなんてどうでもいいんだよ。ラーストル(この国)だけ救えば、後はどうでも良い……」

「あ〜ら、ラーストルの事は考えてくれてるのね。嬉しいわ」

「別に……そんなんじゃ……」

「でもね、今回キルムヘルブを救うことによって利益があるのは貴方なのよ?」

「どう言うことだ?」

「貴方、前に言ったわよね? 魔王になりたいって」

「ああ、言った」

「では質問。魔王になるには何が必要ですか? 3つ答えて」

「えっと……じゅ、従者と武力……そして国か?」

「正解。私はこの先、テスムを乗っ取るつもりよ」

「なっ! 正気か!? この世界で1番大きな国なんだぞ! 」

「ええ。知ってるわ」

ラーストル(この国)だってこの世界で2番目に大きいけど……だけど!」

「だからよ。だからキルムヘルブを支配下に置くの。貴方がキルムヘルブを助ければ、この国を優位に立たせる事ができるわ」

「なるほど。一度でも優位に立てれば、貿易だって有利に進められるし……この先、キルムヘルブを完璧支配に置ける可能性もある。植民地にするのは難しいかもだが、支配するだけなら行けるな」

「そう言う事よ。そしてテスムを乗っ取った暁には……貴方にラーストル(この国)を譲渡するわ。そして、私がテスムの王になる」

「フッ……乗った!」

「そしてテスムを手に入れた後に、私と貴方が名ばかりの結婚でもすれば……」

「テスムとラーストルで正式に同盟を組める!」

「そしてこの大陸を2国で制覇するの!」

「あ、そういえば、この世界っていくつくらい国があるんだ?」

「40〜50程ね。大陸はこの国がある、メルセス大陸が1番大きいわ。他にも4つくらい大陸があるわよ」

「なるほどな。ならまず、テスムを手中に収めよう。それから他の大陸にも進出するんだ」

「それで決まりね」

「んじゃ、明日は……」



そしてより綿密に、計画を立てていった。







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