8話 メリリカ、胴上げされる
「これはね、爆弾っていうんだ」
「ばくだん? ふえええ、魔法じゃないんですかあ?」
「魔法を使ったのは素材を用意するときだけ。爆弾自体はマジックアイテムじゃないよ。誰でも使える文明の利器なのです」
「ぶんめい……」
たどたどしく繰り返すマーフィーに向かって、メリリカはうんうんと頷き返した。
「いまみたいにすごい力で爆発するから、扱い方には十分気をつけないといけないんだけど。その分ああして岩を砕いたりできるの」
「な、なんと……なんとおおお……」
ババ様は驚きすぎてわなわなと震えている。
他のエルフに至っては、まだ何が何だか分からないという顔だった。
「さて今回は、じゃじゃーん。この完成した爆弾をこの村に残していきます!」
メリリカは目の前に並べた10個の爆弾の前で、両手を広げてみせた。
「にににに人間様あっ!?」
「今後落石が起きたら、自分たちで火をつけて木っ端みじんにするといいよ。念のため使い方を色々と書き残していくからね」
「こんなすごいものを……我らに与えてくださるのですかっ!?」
メリリカは頷いたあと、補足した。
「これは貴重なアイテムだから、10個作るのが限界なんだ。だからあげられるのは10個だけ」
本当は1000でも2000でも余裕で作れる。
でもエルフたちは、落石が起こるのは1年に1度ぐらいだと言っていた。
それなら、与えておくのは10個ぐらいで十分だろう。
(爆弾って、色々いらぬ火種になりかねないからね。火薬だけに。くふっ)
自分のくだらない冗談に内心で笑いつつ、顔だけは大真面目にしておく。
「とりあえずこれで、10年間は落石に備えられるってことでしょ? だから、その間に別の解決策を探すといいよ。ノミで削る方法以外でね」
「に、人間様あああ!」
エルフたちは大喜びで互いに手を取り合った。
「これでもうノミを振るわなくていいんだ!」
「狩りも農作も安心してこなしていける!!」
「人間様のお陰で……!」
「うんうん。さあ、私に何か言うことはあるかな!?」
これでさすがに、あれを言ってもらえるだろう!
メリリカは目をきらきらさせた。
けれど……。
「人間様をたたえよー!!」
「え!?」
エルフたちにガッと掴まれたかと思えば。
「わーっしょい!」
「わーっしょい!」
「ぎゃあ!? ちょっとちょっと、待ってえーっ!! なんで胴上げされてんの!?」
「人間様を担ぎ上げよ-!!」
「神が我々に救いの御子を与えてくださったぞー!」
「また神扱いっ!?」
メリリカは胴上げで宙に舞いながら、絶望した。
「やはりこのまま我が村の巫女になっていただこう! そうじゃ、それしかない!!」
「だから私はこの村に留まらないってば-! そのために爆弾だって作ったんだよ!?」
「いやいや、我ら決して人間様を手放しませんぞ!」
「はあ!? 何言って……」
「賛成ですババ様!! 人間様を、巫女様を称えましょう!!」
「もう、違う……」
メリリカはいよいよ、渾身の叫び声を上げる。
「そうじゃなあああああああああい!」