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最後の魔女は自重したい! 〜転生しても最強すぎて世界が放っておいてくれない〜  作者: 斧名田マニマニ
1章 最強魔女は、異世界でもやっぱり最強だった
6/10

5話 伝承として残されそうです

「そうじゃ! 貴方様の今回の活躍、これも村の巻物に加えよう! 新たな舞を作らせてくだされ!」

「ええ? 私を? いやいやいいよー、そういうのは」

「人間様の舞がもし出来たら、私がその役をやりたいなあ!」


 慌てて両手を振ったメリリカの隣で、マーフィーがうっとりと言う。


「巨大な岩が消し飛ぶ魔法をどう表現するか……。村を挙げて議論せねば!」

「そ、そういえば、ああいう落石って時々あるの?」


 無理矢理に話題を変えると、ババ様とマーフィーは神妙な面持ちで頷いた。


「落石の頻度は年に1度ぐらいなのじゃ。ただ、ひとたび落石が起こると、それを撤去するのに数ヶ月かかるからのう」

「ははは、まあそうだよね」


 ノミでトントンカンカン岩を砕こうとしていたエルフたち。

 その姿を思い出し、苦笑いを返す。

 年に1回でも、解決するまで数ヶ月かかるのだ。

 結構大変な事態と言える。


「てかそれだと、1年の3分の1ぐらい、ノミをふるってたってことじゃない?」

「そうなのじゃ。お陰で農作にも支障が出てしまう……次の落石は来年じゃろうか」

「ああー。大変だねえ」

「しかし、もう大丈夫! この村に人間様が留まってくだされば、まるっと解決じゃ!」


 ババ様が期待に満ちた目で、メリリカを見つめてくる。

 本気で留まって欲しいと思っていることが、その眼差しから伝わってきた。


「いやあ、それは無理だなあ」

「なんと!?」


 ババ様は衝撃を受けた顔をした。

 マーフィーも驚いて、泣きそうな顔をする。


「えええ。人間様、いなくなっちゃうんですか……!? もっとたくさんお話したいのに!」

「ごめんねー。でも私、人間のことをいろいろ調べたいし。ここに留まるつもりはないんだ」

「人間様が留まってくだされば、この村も安泰になると思ったのじゃが……」


 ババ様が残念そうに肩を落とす。

 それを見ていたメリリカの中に、また例のむずむずとした気持ちが沸いてきた。


 エルフたちは次回の落石の際、またあのノミで戦うのだ。

 さすがに同情する。


「……うーん。だからって、魔法を教えることもできないしなあ」


 メリリカは口元に手を当てて、ぶつぶつ呟く。


 魔法を伝授するには、何年もかかるし、もともとの適正次第では何年かけても覚えられないこともある。


「魔法に近い能力を授ける的なことってできないかなー。あ、そうだ」


 もしかして名案を閃いてしまったかもしれない。


 さっき山で見た黄色い岩のことを思い出す。

 あれは『燃える石』と呼ばれる鉱石だった。


「山にある黄色い岩わかる?」

「む? ああ。山には無数に転がっておるからの」

「あの使い方って、ふたりとももう知ってる?」

「使い方じゃと……?」

「岩って何か、使い道とかあるんですか?」


 やっぱり、思った通りだ。

 あんなふうにゴロゴロ放っておかれてるってことは、少なくともこの村では、使い方が知られていないのだ。


 魔法の研究の一環で、メリリカは錬金術も学んでいた。

 その知識を応用すれば……。


「ねえ、マーフィー。お願いがあるんだ」

「え? 私に!? なんですかっ、人間様!」

「あのね。いまから言うものを取ってきてほしいの」


 マーフィーは私が伝えたものをふんふんと覚えると、忘れないよう何度も口にしながら駆けだしていった。

 メリリカは手を振って、マーフィーの背中を見送った。


(この方法なら、今度こそ絶対感謝されるはず! そしたら私の望みも叶うよね!)


「人間様……?」


 エルフの皆は、何が何だかわからない様子だ。


「まあまあ、安心して。その年に一度の落石、困らないようにしてあげましょう!」

「え!? な、どういうことじゃ!?」


 慌てるババ様に向かって、ニッと笑いかける。


「まあ、この私に任せといて!」

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