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プロローグ2

なぜか、頭の中に声が響いていた。冴えない禿げ頭の課長の声かと思い、一気に意識が覚醒する。


「やべぇ!仕事に遅刻する!」


咄嗟に出た言葉であったが、いつもならけたたましく鳴り響く目覚まし時計が今日は鳴っていないことに気が付く、それは遅刻したのだという証明かのように感じた。


遅刻をどやされることに気分が少し憂鬱な気分になったが、時間を確認しなければいけないと起き上がることにし、時計を目で追った。だが、そこにはいつもあるはずの時計なんてものは存在しておらず、さらに言うとそこは、いつも寝起きしている自室ですらなかった。


なぜか体は宙に浮いており、自分を取り囲むかのようにゲーム画面に表示されるようなタッチボタンが展開されていたのだ。ここは、もはや部屋と呼んでいいモノなのかも分からない。混乱の坩堝に片足を突っ込んだが俺だったが、一周回って冷静になってきた。壁一面、床一面にまで表示されているUIを、頭を整理するために読み上げてみる。


「ローグファンタジー、ブリッツアウト、ファイアバレット、ファントムクルセイダー…」


そこに表示されていたのは、俺が今までプレイしてきた色々なゲームのタイトルだった。試しにブリッツアウトという昨日プレイしていたゲームのタイトルに触れてみる。


ポンッという音と共に、確認ウィンドウが現れた。

『ブリッツアウトを選択しますか? YES/NO』


なんの選択画面なのかイマイチ要領を得ないが、この空間を脱出するための鍵だと自分の中で結論付け、YESを選択する。

すると空間が上書きされるかのように、今まで表示されていたゲームタイトルにノイズが走り出した。何が起きるのかと心身恐々と身構えてみるが、体は宙に浮いたままで変化はない。


事態が好転すれば、という思いでYESを選択したのだが、ノイズの音がうるさいだけで、特になんのアクションもない。なんだ、ただの肩透かしか、とため息を吐いた瞬間だった。存在が分解されるように、手が、足が粒子に変わり、俺の体から零れ落ちていった。


何かを叫ぼうと声を出そうとしたのはいいが、もはや鼻から下はLEDの電飾のような粒子に変換されている。もちろん声なんて出るはずもない。ふざけんな!なんで俺がこんなことにならなきゃいけない!と罵声を心の中で吐くが、脳も分解され始めたのか思考も定まらない。


ポンッと何が表示されるような音が聞こえたが、何も考えることはできなかった。


『ブリッツアウト:キャラクター名 アトラスを対象惑星 ユーフィリアに転送します』


ただウィンドウに表示されたその言葉だけが、粒子となって消えゆく俺の目に映っていた。

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