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トリ

 

 昼休みが終わった。MCの芸人がステージの中心に出てくる。

 

「はい。それでは、オーディションを再開させてもらおうと思います。お客さん、準備はよろしいでしょうか」


 MCが審査員とゲストに今までの十組の感想を聞いていく。笑顔で答える者、難しいそうな声を発する者、様々だ。ふと、ヒロインズの名前があがった。午前の組ではやはり彼女たちが頭一つ飛び抜けている、とのことだ。


 審査員とゲストたちが感想を言い終えると、また出場者が舞台に立った


 高校生の芸人のパフォーマンスは荒削りながらネタに新鮮さがあった。優勝するのは何もキノコやヒロインズには限らないと思った。


 一つ一つ、組が消化される。


 そして三時少し前。


 ついにトリの組の番が来た。MCが紹介する。


「それでは次、最後の出場者です。コンビ名はスベスベステューデントですが、急遽相方の一人が出られなくなり、ピンでの登場です。絶対に勝って、プロへの道を掴んで見せます。森山キノコの登場です。皆さん、拍手をどうぞ」


 拍手が溢れた。


 味方のお客さんが手を叩いてくれている。それにつられて他のお客さんも拍手をしていた。


 MCが舞台裏に下がる。


「こんちくわー」


 キノコがステージの中心に立った。


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