表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/88

ツインテール


「はいはいはーい。そこのバカップル。辛気くさい顔してないで、スマイルスマイル」


 二人の間からマリナが顔を覗かせた。


「マリナ」

「いたんですか?」

「さっきからいたわよ。人をお化けみたいに言わないでくれる?」

「マリナ、話は聞いてたか?」

「うん。ずばり」


 彼女が人差し指を立てる。


「カグ姉に吐かせるしかないわね」

「やっぱりそうか」

「吐かせるって?」


 キノコは不安げな顔をする。


「警察に電話しても花井家が相手だし。キノコさんのお父さんの上司に頼んでも、普通に考えてどうにもならない。花井源三に直談判なんてもってのほか。門前払いされるわ。残された手段は、キノコのお父さんが転職するか、カグ姉に吐かせる、つまり罪を認めて自首してもらうしかないわ」


「どうすればいい?」

「そんなこと可能なんでしょうか?」

「うーん」


 マリナは右手をおでこに当てる。


「例えば、ちょっとひどいけどレンちゃんに拷問してもらうとか」

「えげつないな」

「それは……」


「相手も手段を選んでないわ。カグ姉には良い薬だと思うけど。でも、そうね。それは最後の手段にしましょう」

「何か手があるのか?」

「お兄ちゃん」


 マリナはため息をついた。


「私を誰だと思っているの?」

「凄いんですか?」


 キノコは希望が沸いてきたのか顔を徐々に明るくした。


 マリナがメガネをくいっと上げる。


「私は頭脳班よ。相手が日本一の金持ちであっても、勝負を覆すことは可能だわ。なぜなら、相手は色んな弱点を抱えているから。それは例えば、カグ姉が同じ恋ヶ海高校という場所にいて、卒業するまで同じ規則を守らなければいけないということ。カグ姉の弟であるところのヤマトちゃんは、まだ頭角を現していないということ。また例えば、こちらには実力最強のレンちゃんがいること。後はまあ、ちょっとぼけぼけしたお兄ちゃんと、男たらしのキノコさんがいるってことね」

「なんだよぼけぼけって」

「私は男たらしじゃないです」

「言葉のあやよ」


 マリナは髪をかきあげる。ツインテールの片方がなびいた。


「キノコさん。お父さんの転勤はいつ?」

「ちょうど一ヶ月後です」

「お兄ちゃん。近々、お笑いの対決ができるようなイベントやお祭りはある?」

「お笑い対決?」


 無い。……いや、あるじゃないか。

 

 キノコと出ようと思っていた高校生限定のお笑いのイベント。


「ある」

「それは何月何日?」


 チェックしてあった。


「6月24日だ」

「わーお。今からちょうど一ヶ月後ね。これで、条件はそろったわ」

「勝てるんですか?」

「今のところフィフティーフィフティーね。二人とも、これから私がする話を良く聞きなさい」


 マリナが作戦を伝えていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ