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嵐の前の静けさ
カグヤに宣戦布告されたその日。
学校はやけに平和だった。
俺たちはいつも通り受業を受けた。勉強しながらお笑いのネタを考えるほど余裕があた。そして昼休みになると四人で食事を摂った。
校庭のベンチ。キノコがぶるぶると震えていた。
「今日は寒いですね」
「そうか? 俺は熱いぐらいだよ」
レンとマリナは楽しくおしゃべりをしている。こちらが自然ににやけてしまうぐらいの良い雰囲気だ。
「ユザ、変なこと言って良いですか?」
「変なこと? 別に良いけど」
「第六感って、知ってますか?」
「テレパシー、とかか?」
「はい」
「知ってるよ。テレビの特集で見たことあるな。でも、それがどうかしたのか?」
「私は何かを考える時、肌で考えるんです」
キノコは左手で右手をなでる。
「は?」
「だから、つまり、肌が冷たくなったり、鳥肌が立ったりすると、嫌な予感がするんです」
「ふーん」
「あ、変なこと言ってごめんなさい」
「いや、別に謝ることじゃないけど」
それからは今度やるお笑いのネタの話になる。
嫌な予感は当たった。




