第三章 誓い
朝のホームルームが始まるよりも一時間ほど前。
俺は自分の教室にいた。
レンにラインで呼び出されていた。
全然話は変わるのだが今朝から頭が痛い。風邪をひいたようだ。今日の放課後は病院に行った方がいいかもしれない。
ガランと扉が開かれた。
俺は黒板前の教壇に座り天井を見上げていた。
いつにも無く緊張したような顔をしている。俺は何とか笑顔を作った。
「おはよう、レン」
「よう、ユザ」
彼の後ろにはマリナがいた。そして彼女だけでは無くどうしてかキノコもいた。
「お兄ちゃん」
「おはようございます、ユザ」
「おはよう」
俺は立ち上がる。
そして右手を殴るように構えた。
レンは微動だにしない。
俺は苦笑した。
「嘘だよ」
右手を下げる。
「ユザ、俺、マリナと付き合う」
彼の右手は包帯が巻かれていた。アスファルトを叩いた時の傷が治療されている。
「レン」
「ああ」
「マリナ」
「うん」
マリナのツインテールが揺れる。
「清く正しい交際をすることを、俺に誓えるか?」
「もちろんだ、リーダー」
「お兄ちゃん、うん」
「だったら、許す」
パンッ。
クラッカーが鳴った。キノコだった。彼女は満面の笑顔を浮かべている。
「レンさん、マリナさん、おめでとうございます」




