表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/88

衝撃


 マンションに着いた。俺たちはエレベーターに乗る。六階で降りて通路を歩く。部屋の前でキノコが声をかけた。


「ユザ、待ってください」

「なんだ?」


 俺は立ち止まって振り返る。


 キノコが両手をもじもじとさせて下を向いていた。


「わ、私たちは」


 声が裏返っている。


「つ、付き合うことになったんですか?」

「バカ、そんな訳ないだろ」


 俺は部屋のドアノブを握った。


「あれは、コントだから告ったんだ」

「そ、そんなー」


 キノコはへなへなとしゃがみ込む。俺は玄関に入った。うれしいことに、マリナとレンの靴があった。


「ただいま」


 リビングでながまっている母さんに帰宅したことを告げる。


「ユザ、レン来てるよ」


 母さんにとってレンは我が子のようなものである。


「ああ、分かってる。キノコも上げるから」

「夜更かしはダメよ」

「ああ」


 父さんは仲間の付き合いで飲みに行っているとのことだ。俺はまた玄関に戻った。ドアを開けるとキノコはまだそこにしゃがみ込んでいた。


「キノコ、お前何やってんだ?」

「振られたんです」

「振られた? ふふ」

「ユザに振られました」

「早く上がれ」

「嫌ですぅ」


 キノコはぷっくりと頬を膨らませてそっぽを向く。俺は舌打ちをした。


「分かったよ」

「付き合ってくれるんですか?」


 キノコがこちらを向いて立ち上がる。目をきらきらとさせていた。


「漫才グランプリで優勝したらな」


 漫才グランプリとは、その年の漫才ナンバー1を決める日本の祭典だ。テレビではライブで生中継される。


「いつの話ですか!」


 キノコは遠い目をした。


「すぐだよ、すぐ」

「うー、分かりました」

「分かったんなら、早く入れ。レンとマリナが待ってるぞ」


 キノコは玄関に入り靴を脱いだ。階段を上って俺の部屋の前に来る。扉を開けた。


「んー」

「……」


 レンとマリナがキスをしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ