学友
教室の自分の席につくといつもお馴染みの友達があいさつをくれた。
「うーっす、ユザ」
サラサラとした髪のイケメンが学ランのポケットに両手をつっこんでいる。
「おはよう、レン」
俺はまだ眠気のさめない目をこすった。
レンは猟犬のような顔と雰囲気を持っている。ぶっきらぼうで無口だが俺とは馬があった。
「銀河の星、どうだったんだ?」
「ダメだったよ」
俺は苦笑して顔の前で手を振った。
「そうか。まあそーだろうな、現実」
「現実は厳しいみたいだ」
「ああ。まあ気を落とすな」
「落としてない。初めっからダメ元だったし。それよりお前の方はどうだったんだ?」
「何がだ?」
「あれさ、言ってたじゃん」
レンは出会い系サイトで知り合った女性との初顔合わせ、デートがあるはずだった。
「聞くな」
「ダメだったのか?」
「…宗教の勧誘だったんだ」
「あははっ」
「速攻帰宅」
レンは鼻をすすった。
「まあ気を落とすな」
俺は彼の肩に手をやる。
「落としてねー。それより、お前知ってるか?」
レンが俺の手を振り払った。
「ん?」
「今日、転校生が来るらしいぞ」
レンがそう言って俺の隣の机をはたいた。そう言えばおかしい。最後部の俺の隣には席が無いはずだが。
教室に担任の先生が入ってきた。ホームルームの時間にしては少し早い。
「じゃあな」
レンはそう言って自分の席に帰って行った。