表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/88

反撃


「ヤマトだ」

「マリナです」


 二人は右手を上げる。


「「コント、鬼ごっこ」」


「「さいしょはグー、じゃんけんぽん」」


 ヤマトはグー、マリナはパーを出した。


「あ、私の勝ちだ」

「ふむ、じゃあ俺が鬼ということか。くはは、相手は色っぺえメスガキだ。捕まえて、裸にひんむいて、エッチないたずらしてやるぞ」


 ヤマトはゲスな笑いを浮かべる。


「ひ、ひいいい」


 マリナはのけぞる。そしてステージを走った。


「ほれほれ、逃げろ逃げろ。早く走らないと、エッチなことしちゃうぞー」

「こっちに来ないで。変態、痴漢、犯罪者」

「お前の靴下の匂いを嗅がせろー」

「くっ、もう、こうなったら仕方ない」


 マリナは立ち止まる。そして両手を前に伸ばした。


「こっから、バーリア」

「何、バリアだと」

「そうよ。バリアを張ったんだから、ヤマトちゃんはこっちに入れないわ」

「どうすれば良いんだ?」

「どうもできないわよ。ヤマトちゃんは、永遠にそこで立ち往生して、餓死すればいいの」

「仕方ない。奥義」


 ヤマトは学ランを脱ぎだした。ワイシャツも脱いで上半身裸になる。


「キャー、何やってんの?」


 マリナは右手を口に当てた。


「この世界、女は脱いだら終わりと言われるが、男は脱いだら始まりと言う。俺は脱ぐことにより、覚醒するのだ」

「やめて、やめなさいってば、恥ずかしいでしょ」

「バリアを解くか?」

「しょうがない、ここは、解くわ」


 ヤマトはすかさずマリナにタッチしようとする。それを回避しマリナは走った。


「ほらほら、逃げろー。早く走らないと、スケベなことしちゃうぞー」

「もうっ、もうっ来ないでよ。エロ、スケベ、変質者―」

「お前の足の指と指の間をなめさせろー」

「くっ、もう、こうなったらしょうがない」


 マリナはバンザイをした。


「トウッ、飛んだわ」

「何? 飛んだだと」

「そうよ。ヤマトちゃんは地上にいるかもしれないけれど、私は空にいるから。触ることはできないわ」

「解決方法は?」

「無いわ。ヤマトちゃんは永久にそこで空を眺めて、お腹が空いたら家に帰りなさい」

「やむをえん。秘技望遠鏡」


 ヤマトは両手を丸くして両目に当てて望遠鏡を覗いているポーズをする。


「秘技なんて何もできないじゃない」

「ふむ、今日のパンツの色は黒か。高校一年生にしては不良だな」

「きゃ、キャー」


 マリナは慌ててスカートを押さえた。


「他にも見えるぞ、あれは」

「言うんじゃねー」


 マリナが蹴りを放つ。ヤマトのすねに直撃した。


「痛いな。なんだ、俺に触れるということは、地上に降りてきたのか?」

「降りたわよ。それより私の秘密をばらすんじゃねー」

「俺に触ったということは、タッチだ。今度はマリナが鬼だぞ」

「私を怒らせたわね。変身するわ、へーんしんっ」

「な、何が起こった?」

「マリナは鬼になった。鬼となってヤマトちゃんに襲いかかった」


 マリナはセリフを言いながらヤマトに両手で襲いかかる。


「や、やめろ、俺が何か悪いことをしたというのか。神よ、神よー」


 ヤマトは目の前で十字をきった。


「ざぐばぐぐしゅがしゃり。マリナはヤマトちゃんを食べてしまった。ああ、おいしかった」


「「こうして、五分間に渡る鬼ごっこは、その終止符を打ったのだった」」


 ヤマトが立ち上がり、二人は並んで礼をする。


「「ありがとうございました」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ