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ゴング


 午後一時少し前。


 体育館いっぱいにパイプイスが並べられており一般のお客さんや生徒が座って談笑をしている。これから始まる出し物に期待を膨らませているようだった。幕がまだ上がっていない舞台裏では、俺とヤマトが戦いの火花を散らせていた。近くにはキノコとマリナがいる。


「ユザ、約束通り、勝負だ」

「分かってるよ。悪いけど、お前のプライドをずたずたにしてやる」

「負けたら、分かってるだろうな」

「負けたら? はっ」

「お兄ちゃんなんかに負けないもん」


 マイクのエコーが聞こえた。司会進行役がマイクをONにして話し始める。

「待たせたようじゃの」


「ユザ」


 キノコが両手を握った。


「分かってる」


 幕が静かに上がった。


「それでは発表会の始まりじゃ」


 進行役はカグヤだった。左手にイベントスケジュール、右手にはマイクを持っている。


「まず、一組目と二組目じゃが、お笑い対決みたいじゃの。お集まりいただいた客の衆。一組目と二組目が終わった後に、良いと思った方に拍手をしてくれ。それじゃあ、始めるとしようかの」


 ステージ脇にいた係員が白い紙をはぐった。一組目、スベスベステューデントとでかでかとした文字が現れる。


 カグヤがこちらを見る。


 俺は親指を立てた。


「それでは、一組目。その一人の男子は私の幼なじみじゃ。小さい頃は良く一緒に遊んだのう。二年二組の、ユザとキノコの登場である。皆の衆、拍手を持って迎えてくれい」


 大勢の人間の拍手が聞こえる。


「キノコ」

「分かってます」


 俺たちは笑顔でステージ上へと歩いた。


「「どうもー」」


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