エントリー
こんばんは^^ひろくです。
書き立てほやほやをお届けします。
今日は仕事で上司と喧嘩しました。気まずいですが、何とかだましだまし明日も頑張ります。
「着いてきてくれ」
俺は歩き出す。
「どこに行くんですか?」
立ち止まる。
「生徒会室だ。そこでエントリーできると思うから」
また歩き出す。教室を出て廊下を歩いた。後ろからはキノコがついてきている。キノコの格好をしている彼女は目立った。道行く人が振り返るぐらいだ。
階段を一つ上がり、すぐそこの突き当たりに生徒会室があった。俺はノックをして入室する。
「こんにちは」
弁当箱をつついていた生徒会のメンバーが俺に視線を向ける。生徒会長の姿もあった。会長は感情の読めない笑顔を浮かべて立ち上がる。
「こんにちは。久しぶりじゃないか、ユザちゃん。入れ入れ」
生徒会長・彼女の名前は花井カグヤ。ヤマトの姉である。この間の事件のことはもちろん耳に入っているだろう。しかし俺は臆さなかった。非はヤマトにあるからだ。
「失礼します」
俺は頭を下げて室内に入る。「失礼します」後ろからキノコが続いた。
「お、ユザちゃん、彼女連れか? よっ、この色男」
「違います」
「新婚です」
俺はキノコの頭をはたいた。
「なんでやねんお前。俺はまだ17才だからな」
「間違いました。彼は童貞でした」
「お前は俺の何を知っている?」
「悪いとは思ったんですが、調べさせていただきました」
「調べたって、何を?」
「隠れて鼻くそをほじって、あまつさえ食べていることなど」
「嘘を言うのも大概にしろよ」
「歯の歯垢を爪で取っては食べていることなど」
「それはお前だろ」
「へそでほうれん草のごま和えを作っていることなど」
「バカにすんじゃねー」
俺はキノコの頭を叩く。
生徒会のメンバーはびっくりした顔をしていた。
「どうも、お笑いコンビ、スベスベステューデントです」
キノコが右手を上げて礼をした。
俺はキノコを放っておいて、カグヤに近づいた。
「カグ姉、あのさ。俺たち、散り祭の午後から、体育館のステージである発表会に出たいんだけど」
「うむ。来ると思っておった」
カグヤは書記に一声かけて、エントリーシートを取った。俺に差し出す。
「出てみればよい」
「ありがとう。出演時間は」
「一番最初で良いかな?」
カグヤはくりっとした瞳を大きくした。
「ハナですか」
「そうじゃ。それと、そなたには言っておくことがあっての」
カグヤは右手をグーにして鼻につける。
「何ですか?」
「余の弟と、そなたの妹が、コンビを組んでエントリーしておるぞ?」
彼女はクスクスと笑い出した。
「一体何があったのじゃ?」
「マリナが?」
びっくりした。その次に背中に脱力感があった。俺の代わりにキノコが前に進み出る。
「あのー、その二人はどんなパフォーマンスをする予定なんですか?」
「お笑いだ、そうじゃ」
「そ、そうですか」
後でマリナに聞いてみないといけない。
「まあ、そんなことより二人とも、よく来たの。茶でも飲んで行くと良いぞ」
「いえ、もうすぐ五限が始まるんで」
「よいよい、生徒会長の余が許可する」
「そういうわけには」
「余の言うことを聞けんのか?」
カグヤが目力を使った。この目で見られると、逆らうことなんてできない。昔から。
「じゃ、じゃあ少しだけ」
「お言葉に甘えます」
「それでよいのじゃ」
俺たちはイスに座り、三人でたわいない会話をした。コンビを組むことになった経緯なども話のタネになった。カグヤは疑問を口にした。
「キノコは、ユザちゃん目当てで転校してきたのか?」
「あ、そうですそうです」
俺はびっくりした。
「そうなのか?」
「言ってませんでしたっけ?」
初耳だった。
読んでくださいまして、ありがとうございます。
感想、お待ちしています。




