隣人
帰り道、マリナは泣いていた。朝、俺と登下校をしないと宣言したのに忘れているようだった。なぐさめの言葉を俺は考えていた。
「マリナ、ごめんな」
「お兄ちゃんが、裏切った」
子供のように泣きじゃくっている。
「裏切ったわけじゃない」
「裏切り者は皆そう言うよ」
「漫才がやりたいんだ」
「もういいよ」
それ以降、会話は続かなかった。雨が降れば良いと思った。雨がマリナの気持ちと涙を洗い流してくれれば良い。だけど晴れている上にさわやかな風が吹いていた。
家のマンションに着くと俺たちは黙ってエレベーターに乗った。6階で降りて通路を歩いて行く。そこで立ち止まった。俺たちの部屋の隣の部屋の前で一人の少女が植木鉢に水をくれていた。キノコだった。
「あら、ユザ、マリナさん、お帰りなさい」
彼女は俺たちに気がつくと笑顔で手を振った。
マリナはずかずかと歩いて行く。
「あんた、今度は何の嫌がらせをしに来たの」
「嫌がらせ? 何の話ですか? 私はただ、自分の家に帰ってきて、アザレアちゃんの水やりをしているだけですが」
「自分の家?」
「はい」
マリナはジョウロを置いて、両手のひらを合わせた。立ち上がる。
「このたびこのマンションに引っ越してきました。お隣同士、よろしくお願いしますね」
「出てけー!」
マリナはキノコの体を掴んで揺さぶる。
「マリナさん、落ちます、私落ちます」
「落ちたって良い!」
「死にます」
「死んだって良い!」
「よくないですー」
二人は喧嘩するほど仲の良い姉妹に見えた。俺は苦笑しながら、ヒートアップしていくマリナを落ち着けるために歩き出した。
一巻としては、これで第一章が終わりです。どうでしたか? この物語は読むに値するものであるのでしょうか。
どうして第一章を一気にアップしたのかと言うと、お恥ずかしい話ですが、今日の読者数がゼロだったからです。さすがに読者がいなければ、私は小説を書き続けるモチベーションを保てません。何か手を打たなければと思い、アップさせていただきました。
是非感想をください。
私は何か新しいことを始める時、必ず序盤でつまづく癖があります。つまづくとはどういうことなのかと言うと、つまりリタイアしてしまうのです。でも、普段のドライバーの仕事や、実際のお笑い活動では、リタイアしそうになる度に誰かに相談し、自分で悩み、だましだまし日々を送り、モチベーションが回復するのを待ちました。こうして私は乗り越えてきたのです。
どうしてこんな話をするかというと、このこちらが笑い茸のてんこ盛りラーメン麺抜きになります、にしても、必ずリタイアしようとする瞬間が訪れるのを、私は分かりきっているからです。新しいことを始めると、必ずそうなります。その時、読者様に相談に乗って欲しいのです。助けが必要です。だから、お願いします。感想をください。必ずお返事をします。皆さんの声があれば、私は百人力です。
それではまた明日から1話ずつアップします。もう書きためがないのでライブ感覚になりますが、何とか丁寧に書いていこうと思います。




