マリナの気持ち
俺たちは体育館のギャラリーにいた。今は昼休みでご飯は食べ終わっていた。俺とキノコは並んで立っている。対面にはマリナがいる。ケータイで呼び出したのだった。少し離れたところではレンが様子見守っている。
俺は言った。
「マリナ、俺とキノコは、コンビを組むことにしたんだ」
どうしてもマリナには言っておかなければならなかった。それはこの前の靴の件で、彼女がキノコに対して良くない感情を持っているからだった。
「絶対ダメ」
マリナは両手をバッテンにした。
キノコが前に一歩出る。
「どうしてですか?」
「どうしても何も。こんな危ない女とコンビなんて組ませられないよ。お兄ちゃん。お父さんとお母さんが泣いちゃうよ」
俺は眉間に力を込めた。
「マリナ、俺は漫才がやってみたいんだ」
「じゃあ私とやればいいじゃん」
マリナは自分の顔を指さす。
「お前な、どこの国に兄と妹でコンビを組むやつがいるんだ」
「私たちが初めてになればいいじゃん」
「それは……」
「マリナさん、私たちは本気なんです」
マリナは苦虫をかみつぶしたような顔をする。
「じゃあ私を笑わせてみなよ」
「えっ」
「今日中に一回でも私を笑わせることが出来たら、仕方ないから認めてあげるわ、その代わり」
マリナがキノコを指さす。
「できなければ、あきらめることね」
「分かりました」




