コンビ名
ホームルームの時間。敬子が教壇でしゃべっている最中、俺とキノコは話をしていた。
「まずコンビ名だな」
俺は両腕を組んだ。
「コンビ名、ですか?」
キノコは机に両肘をついて両手で自分の頬を挟む。
「当然だろ。俺たちは、お笑いのコンビなんだから」
キノコは頬をつり上げる。口からやえ歯が見えた。
「どんなのが良いでしょうか」
「まず、インパクトが大事じゃないか?」
俺は口元に右手を当てた。
「インパクトですか。じゃあ、コンビ名はキノコインパクトで」
「お前は一人でやるのか。名前に俺の要素が入ってないぞ」
「うーん。うーん。難しいです」
キノコはへなへなと机に崩れた。
「こう言うのはあれだ。インパクトがあること。次に、お客さんが覚えやすい名前であること。この二つがあれば、良いと思うんだが」
「覚えやすい名前ですか。じゃあ、ユザキノコで」
「……没」
「えっ? なんでですか」
「そのまんまじゃないか」
「え、じゃあ、キノコユザで」
「それ、名前を逆にしただけだからな」
「うーん。うーん」
「産卵中のウミガメみたいな鳴き声だすな」
「真剣に悩んでるんですよー」
「まあ、俺のアイディアとしては」
「としては?」
「ハゲキノコで良いと思うんだが」
「何ですかそれ。傘の無いキノコですか? おいしいんですか?」
「やっぱりダメか?」
「ユザキノコと同レベルです」
「うわっ、心が痛てー」
「なんかひどいこと言われたような」
ホームルームが終わり敬子が教室から出て行く。レンが席を立ってこちらに歩いてきた。
「何の話してんだ?」
「あ、レン。実は俺たちのコンビ名を考えてるんだ」
「おめーら、コンビ組むの?」
「ああ、そういうことになったんだ」
「えへへー」
キノコは照れ笑いをする。
「そうか。なんか変だと思ったんだ。ユザはいきなりスキンヘッドになるしるし。そうかと思ったら今度はキノコがキノコのコスプレしてくるし」
「レン、なんか良いコンビ名は無いか?」
「まあパッと見て」
レンは顎をさする。
「お笑いの要素も鑑みて」
レンは髪を撫でた。
「スベスベステューデント」
俺は自然と瞳を見開いた。
「へぇ」
「お笑いのネタが滑る学生ってことですよね?」
「ああ。それと、ユザの頭と、実際のキノコの肌って言うのはスベスベだろ?」
「かかっている訳か」
「まあ、言ってみただけだけどな。それより一限目、化学だぞ」
「あ、わり」
「行きます」
俺とキノコは急いで机から化学の教科書とノートを引っ張り出した。




