お笑いの資質
男という生き物は女を見るとまずセックスを考えるらしい。
それは男がどうしようも無くスケベな生き物であると同時に自然な現象でもある。これは仕方の無いことなのだ。仕方ないのだ。
席がお隣ということで毎日話しをするキノコに対しても、それは同じだった。まず彼女とセックスをすることを考える。次にお付き合いしたら楽しいだろうかと思う。そして最後に、一緒にお笑いのコンビを組んだら上手くいくかもしれないと感じる。もちろん最後の項目が、俺が一番重要視していることだ。
せめて彼女がブスであれば良かった。太っていたら尚良い。顔がニキビまたはそばかすだらけで、怒った顔がチンパンジーに似ていれば最高だった。それでいて、いじられても可哀相と思わせないキャラクターであればお笑い事務所からスカウトされること間違い無い。お笑いに必要な資質、それが何なのかは分からないけれど。
キノコは美人だった。色白で長い髪はつやつやとしている。垂れ目であり、優しい印象を受ける。話していると実際そうだ。しかし願望の実現のためには手段を選ばないような危うさも秘めている。不思議な女子だった。
キノコが転校してきてから何日か経った。あの日以降、彼女は俺にコンビを誘うようなことは無かった。もうあきらめたのかもしれない。
ある日のホームルーム前の時間、俺はキノコをためしてみることにした。




