~超特メガてんこ盛りです~
こんばんは。潜伏期間を経て、執筆活動を再開しました。キノコの活躍にこうご期待!
少し手が震えた。
控え室のイスに座って自分の手を顔の前にかざしてみる。
これから俺は舞台に立ってステージの上でお笑いをやる。5分間程度の漫談を用意していた。練習はできる限りやってきたつもりだ。
おもむろに控え室の扉が開かれる。
「次、8番の方、出番です」
「はい」
俺は8番と書かれたカードを持って立ち上がった。靴を履いて廊下に出る。お笑いの大会(銀河の星というタイトルだ)のスタッフがステージの舞台裏へと案内してくれた。ピンマイクを渡される。
前の番、7番のコンビの漫才を聞きながら神経を研ぎ澄ませる。
ここまで来たら。
別にウケなくてもいいや根性で行こう。
「ありがとうございました」
7番のコンビが礼をした。観客から送られる拍手。MCの、テレビでも見かける売れっ子芸人のコンビがマイクを持って話しかけに言った。
「いやー、ありがとうございました」
「今回はレベルが高いですねー」
7番のコンビは笑顔で受け答えしている。自分の番が終わったということで緊張が抜けたのかもしれない。7番のコンビが舞台裏に下がってくる。見ると俺よりもずっと年上だった。二人が俺の肩をはたいた。
「頑張れよ」
知り合いじゃなくとも、俺は後輩の芸人だった。
もうピンマイクはONになっていた。俺は深く頷くことでこたえる。