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見てないです ①
いつの間にか眠ってしまっていた。授業は退屈だし。
誰もいない教室で大きなあくびをしながら帰りの身支度を整える事にした。
学校に教科書は全部置いて帰るし、特にこれといって持ち帰るものもないのでカバンを手に持って終了なわけだ。
俺の学生生活は華がなく終わりそうな気がする。きっと大人になって後悔するんだろうなこういうのって。
憂鬱な気分になってきたので俺は帰ることにした。
誰か起こしてくれてもいいんじゃないかと思うが、入学して一ヶ月で『不良』みたいな感じで見られてるんだよな。事実そういう行動しか取ってないしな。
生徒会にでも入れば少しは良く見られたりしてな。
誰もいない教室で空笑いしてみる。実に虚しい。だが今はこれでいいのだ。
さて帰るか。
ドアに手を掛けたとき誰かが走る去る音が聞こえた。聞かれてたか、まぁいい。
今日はやけに落ち込むな。
何度目の溜息か分からないが俺はドアを開けて下駄箱に向かった。