特に理由もない、何となく言いたかっただけ。
珍しい来客によって俺は眠りから覚める事になった。いつ振りに会話をするのだろうか。今年に入ってからか、いや去年だっただろうか。とにかく状況が一変したこの状況で不良生徒の前に生徒会長が直々に説教でもしにきたわけでもないようだ。
洲崎は険しい表情のまま俺の前までやってくると俺を指差す。あの頃とは違う凛凛しさを感じつつ俺は洲崎を始めて友人とは別のカテゴライズにしていた。
「私も疲れたよ」
どうやら愚痴を言いに来たらしい。それもそうだ俺の印象ではふわふわしていて百八十度別の性格だった。別の会長として相応しい姿を偽り続ければそれは疲れる。ましてや自分の弱い部分など誰にも見せられないのだから。
「俺はあの日から疲れきってるよ、今もそうさもしかすれば今にも発作が起こるかもしれない」
「そうね、出来るだけ早く出て行くよ」
「そうしてくれ」
随分久々な会話だと思う。だけれど俺達は何も喋る事は無い。
むしろなにもしないほうがいい気もする。
「会長のためにも私は残りもがんばるつもり、赤祢もがんばりなよ」
励まされると洲崎は後ろを振り向いては屋上を後にする。
入れ替わりでお弁当を持っている女の子が立っていた。俺が彼女を見つけたと同時にお昼休みのチャイムが鳴る。




