その後
気が付いたら嵐のように彼女は帰えって行った。
誰とも関わろうとしなかったのにこれは卑怯じゃないか。それにだいたいなんで俺の婚約が破棄されていないんだ? まさか趣味が同じだから保留でもされていたのか……いや俺みたいに誘導されたようにも感じてしまう、大人は汚いそれゆえ平気であの手この手で強行してくる連中だ。
卑屈にもなるさ、あの日から俺は人が変わったような気がするんだ一度死を経験しそうになった結果か目覚めた時には妙な落ち着きと共に一瞬で俺はすべてを察する事になったのだから。
「あにきの趣味に合う人がいてよかったな」
なぜか妹は嬉しそうに言いながらリビングに向かった。入れ替わりで母親がやってくると手にはなぜかお玉を持っていた。なぜ台所に置いてこなかったのだろうか。
「赤祢ちゃんに言い忘れてたけど一応もう一人の婚約者とは継続だって通知が届いてたわよ」
「知ってる、今そのこに会った」
「私もあなたが眠ってる間に会ったけど彼女いい子だったから泣かせるような事はしないようにね」
泣かせるか――一歩間違えれば殺されそうになった俺からすれば逆に簡単に思えるが結局人間は何するかわからない。それが異性ならなお更思考回路など読み取る事も出来ない。
溜息を吐きながら自室に戻る。
物語が始まる前にバッドエンドを回収した俺に次のルートへ行くためのフラグは確かに立ったが臆病な俺はフラグをへし折り自分の世界に閉じこもる方が正解なのではないかと感じる。
ベッドに潜ろうとも思ったがやめたこのまま眠ってしまえば夢見が悪いに決まってる。ギャルゲーも積みゲーもやる気の起きない。
ふとテーブルに置かれたスマホを手に取り操作する。
決まってSNSを見るのだがやはり暇でやるものではないな投稿を二~三スクロールした後にスリープさせて机に置いた。
置いた直後机が振動しバイブレーションが鳴る。
またスパムだ。
「もうすぐでお前の所にいけるがやはり俺は親友であるお前に協力してもらいたい、だからお前にはある程度の生物学でも学んでいて欲しいのだ」
今日のスパムは妙だいつもは文字化けしていたのに今日はやけにくっきりと前文表示されていたがなんの事だか一切わからなかった。




