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まったり 後半

 「――そういえばあかね君の許嫁さんはどんな人なんですか?」


 洲崎も将来は誰か分からない男と結婚して子供を生まなくてはいけないのか。

 そう思うと女も男も自由な恋愛ができない、というまぁ今のご時勢恋愛うんぬんかんぬん言っていられるのは頭がお花畑のような奴らだけで、女なんて腐るほど見るし、むしろ肩身が狭くて仕方がないのに男の俺たちがどうすりゃいいんだと訴えたいぐらいなのである。



 だからだろうか、社会に出るにしてもある程度いい所の会社か精液バンクにでもなれば男なんて一生生きていける気がする。

 いや精子バンクなんて正直意味が分からないがきっと100年前に教えてでもやれば喜んで世の男どもが進んでやってくれるだろう。



 いかんいかん、洲崎がしょうも無い事を考えている俺を見て?マークを浮かべながらこちらを見ている。

 それはそうと何を聞かれたのか忘れてしまった、いや最初から聞いているようで聞いていなかったんだ。


 「なんだっけ?」


 「聞いていなかったんですか、ひどいですね」


 頬を膨らませ先ほど買ってきた紙の容器に入ったバナナジュースを音を立てて飲んでいた。

 まるでギャルゲのキャラがそのまま現れたみたいだな、と内心思ってしまった。


 「許嫁の人は可愛いんですかって話ですよ」


 「そうだな、可愛かったなたしか」



 一ヶ月以上写真を見ていないため脳内で多分彼女だろう姿しか思い浮かべる事しかできなかったが、まぁ母さんも美人だと二人とも褒めていたのできっと美人で可愛いのだろう。



 「母さんは可愛いと言ってたな」



 「その人に会ってみたくなりましたよ」


 なんでお前が会いたいんだと突っ込みを入れそうになったが、やめておこう。



 「お前のとこはどうなの?」



 「イケメンすぎて逆に怖いぐらいですよ、どうせやりチンですよ」



 度直球にシモネタですか、お昼なんですよ。



 「でもブサイクよりかはいいんじゃないか?」



 「そうですけどね、でも逆にイケメンすぎるのもどうかと思いませんか、多重婚で100人となんてありそうじゃないですか」


 「たしかに、腹違いの兄弟が何人もいるのは嫌だな」



 そう思うとこの国の人工の何割が兄弟になるのかおぞましいものを感じてしまうがまぁそういうのは遺伝子操作でもして回避しているのではないかと適当なSFのそれを想像しておくことにする。



 「最近すっかり忘れてたよ、今日あたりにでも写真だったりプロフィールぐらい見ておくよ」



 「もしかして名前も知らなかったりなんです?」


 「あぁ――」




 正直迷っている部分があった。


 写真で見た限り可愛かった。だけれど、一度もあったことも無い人と結婚しろといわれても正直現実味がなさすぎて他人事のように思えてしまう。

 それに心のどこかでこの許嫁というのを反発してみたい、というのが正直あるのだ。



 「俺もまじめに考えるようにしてみるさ」



 「やっぱりあかね君は逃げてた口なのですね」


 

 頭を掻きながら愛想笑いをしていた。

 こういう自分が嫌いだと思ってしまうが、今はそれでいいのだと言い訳をしておく。



 チャイムが鳴ると洲崎はお弁当を持って机の位置を直し、自分の机に戻って行った。


 まじめに、か......本当にまじめになれるのだろうか。





 このときまだ俺の日常に最悪という言葉が訪れる事はまだ知る由も無かった。

 

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