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ちょっとだけ
先輩は俺を連れて屋上にやって来た。目の辺りがすこし赤みがかっているのはきっとここ数日眠れていないのとないたのが原因なのだろう。
「――私どうすればいいかな」
突然振り向いては投げかけられた質問に即答は出来ずましてや俺が答えていいものなのか気になるところではあるしそもそも色恋沙汰に関与したくないのが事実であるため遠ざけてきた俺にはまったく無縁のアドバイスをどうひねり出せばよいのか分からなかった。
「そうだよね、君は何でも叶えられるから」
「それは……」
「すこしだけ私に付き合ってくれない?」
「それはどういう意味ですか?」
なぜ質問に質問で返したのか、いやそんな事どうでもいのだ先輩の言葉の意味が知りたいのである。
「男女としてじゃなく友人としてね」
先輩は精一杯の笑顔だった。




