それが愛ならば ②
相変わらず俺たちは空き教室で何するわけでもなくスマホをいじり暇を潰していた。声をかけようとも思えばいくらでも出来たはずだが名前もしらない先輩に先ほどの事があったばかりだからか妙にしんみりした空気で余計に口を開くのをためらってしまっている。
時刻は既に15時を回りもう少しすれば授業を終わらせるチャイムが鳴る。このままHRに出ないまま帰るのもいいが洲崎にはあまり心配をかけたくないしな。
椅子から立ち上がり先輩にそろそろ戻ると伝えると相変わらず椅子を並べて寝ていた先輩は反応が無く俺がドアに手をかけた瞬間に起きるような音が聞こえた。
「なぁ今日暇か?」
「それは俺を誘ってるんですか?」
「質問を質問で返すなイエスかノーで答えろ」
顎に手を当てて考え込んでしまう。そもそも誘われる理由は……あるか少なからず。だけれどこの人と関わるときっと美兎会長はあまりいい思いをしないかもしれないが、悩むなこんなに人と関わる出来事が多くなって正直困惑している。あの日から大地とだけしか関わっていないからなそれに未だに女は嫌いである事に変わりは無いと思う。
最近はなぜだが喋れているがなれないことをしているから最近は妙に疲れて夜はゲームをせずにすぐに寝てしまう事が多い日もあったりする。
まぁ断る理由も無いし仕方ないな先輩からの誘いでもある。
「平気ですよ」
「それじゃ――」
教室に戻りカバンを持ち上げると俺を見つけては早足で洲崎がやってきた。
「もぅサボるのは駄目だよ、会長に言いつけるからね」
「はいはい」
「そうそう会長が明日放課後教室で待っててだって」
「まさか密告をもう?」
「そんな訳ないよ、ただ会長は会長だから知ってるのかもね」
もしも本当に知っていたならばこれは大変不味い事になるが別に俺が誰と仲良くしようが勝手じゃないかと言ってしまったらそれは駄目な気がするしかといって会長から元々関わるなと言われている以上何を言われるか分かったもんじゃない。
とにかく俺は先輩に言われた通りに17時までに駅前のカフェに行かなくてはならない。
明日の予定で助かったと安堵するが洲崎にもあまり勘ぐられないようにしたほうがいいかもな。女の勘というのはすごいとよく母親が言っていた気がする。
「俺用事あるから」
「またげーむ?」
「早く買いに行かなきゃいけないんだ」
「明日はさぼるなよ」
何気ない会話を終えて俺は急いで学校を後にする。




