まったり 前編
学校を少しだけ賑わせたあの告白から既に一ヶ月が経過していた。
俺は中学と変わらず自堕落な生活を続けていた。男は無条件で高校卒業というある種エスカレーターで簡単に単位も取らなくていいし、勉強もしなくていい。
だから俺は殆ど授業中寝ていた。春の日差しが俺の眠気を誘っているからである。
手であくびをかくしながら俺は授業を聞かずに机に突っ伏し始める。
担任の鈴蘭先生は呆れて何も言わなくなってきた。実に眠るのに最適な授業ではないか。
一眠りする頃にはお昼休みになっている事を期待して眠りに付いた。
チャイムと共に目覚めると周りの女子はカバンから弁当箱を取り出し、仲のいいグループで机を囲み始めた。
「―― 一緒に食べましょうよあかね君」
洲崎が俺の目の前に現れては主のいない机を俺の方に向けてくっつけていた。
俺の返事を聞く前にもうやってますよこの子。
「今日も相変わらず一日中寝てますね、入学式のあの輝かしかったあかね君はどこ行ったんですかね」
アレから俺たちの関係は仲の良い友人として昼飯の時とかは一緒に食べていたりする。
俺にとってはこんなに仲良く喋れる女の子は洲崎が初めてだと思う。
おいしそうに弁当を食べる姿を見ていると微笑ましく思える。