これはいわゆるフラグを立てたということですね
「まさかあそこまでして何もせずに許して下さないなんて言わないよね赤祢くん」
突然声をかけられ振り返る。
緑のリボン、上級生の最近良く会う先輩が俺に壁ドンをして迫っていた。理由は明白、数時間前に屋上に避難するさいに見てしまったアレがこの人なのだから。
「い、いや、まさかあんな場所で――」
「すぐに去れば文句も無かったんだけど、随分見てたみたいなんだけど」
甘い香りが鼻先を突き一瞬先輩を女として認識する、だがそれと同時にこの人はレズなのだと頭の思考を働かせる。
「ですから、おどろいたというか」
「ふ~ん」
だめだこのまま言い訳を続けていたらどうする事もできないどうにか策を練らなくてはいけない。だがいい案などあるはずが無い、この先輩に関しては学年の女たらしのレズぐらいしか情報を持っていないのだから。
「こないだは美兎に言わないでいてくれたのは助かったけど、今回はねぇ」
「平気ですよ誰にも言いませんから」
ネクタイを掴むとなにやら鬼の形相で睨んできた。
「それは当然だよ」
掴めないと思った。
「――そこでなにしてるの?」
副会長の声だった。
「邪魔が入った、また明日の放課後屋上の扉前に顔出してね」
舌打ちをしてその場を後にした。
走って駆けつけてくれた副会長に感謝をするとなにやら歯切れの悪い返答だけが帰ってきた。問題児なのだろうか。まぁ誰も知らないはずが無いだろうし。
「気をつけてくださいね、あの子何するか分からないですから」
「肝に銘じておきます」
よくは思われていないらしい、俺もそう思っている人間の一人だし。
つくづくついていない一週間なんだなと俺はむしろ関心してしまうほどだった。




