見るなといわれると見てしまう
「――であるからこの」
現代文の教師が喋っていた。毎日女・女・女・女。俺はゲシュタルト崩壊でも始まっているのではないかと錯覚するぐらいに男に飢えていた。けして変な意味ではないのだ。ただ大地とも久しくあっていないため少々この学園内は息苦しいというだけ。
それに週末には地獄が始まる。なんと言ったらいいか……少しでも忘れたいのだ、残り5日もあるんだ余生を楽しんでいこうじゃないか。
という訳で机に突っ伏し寝る。
痛みと共に現実に戻される。
顔を上げると耳を引っ張る美羽会長が立っていた。その横には洲崎が立っている。
「そんなに補修を楽しみたいみたいだねアカネクン」
マジのトーンだ。
「いや、ははははは」
なんとか会長との耳攻防戦を制し屋上へと無我夢中で走った。
廊下を走る俺に視線が集中する。ただでさえ男だというのにこれじゃ逃げる意味なんて無い気がする。
屋上へと続く階段はこの時間踊り場から上は薄暗く普段生徒が出入りするような場所じゃない、それもそうだ誰一人扉の先の向こうに行けないんだから。
足音立てず踊り場まで登り次の階段を登ろうと体を動かそうとした瞬間俺は呆気に取られた。
キスをしていた。それもフレンチじゃない舌を入れるようなタイプの奴だ。恋人同士がするような熱いキスだった。それに俺が来た事にも気づいて無いらしく緑のリボン――上級生の方からワイシャツのボタンを上から外し始めた――
顔が熱かった。学校であんな事。いやいや、えぇ、はぁ。
そういえば見たことあるような二人だったがまぁいいか、とにかく俺は何も見て無い。そうだそうだ。




