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嘘のような話

 「おはよう赤祢くん」


 ご機嫌なご様子で手を後ろで組んでにこにこと幸せオーラを発している洲崎がいた。教室に入って席に着く前からこんなに幸せそうな人間を見ると余計にだるいと感じてしまう。


 「実は美兎会長とお泊まりする事になったんです」


 そうかだからこんなにも嬉しそうなのか。どうでもいい。ん?


 「それと補修も兼ねてあかね君もよべとよばれました」


 「は?」


 笑顔の洲崎を横目にスクバから今日の勉強道具を机の中にしまっている最中だったため手に持っていた筆箱を落としてしまった。

 カラカラと小物が落ちる音が聞こえたが今の俺にそんな事関係の無い話だった。


 「今なんていった?」


 「だ~から、週末に補修するの」


 「そこは聞いた、誰の家でだ」


 「美羽会長だよ」


 「なぜ?」


 「親睦会も兼ねて生徒会メンバーも誘うって」


 「なんで俺の補修もなんだ?」


 「ついでだってさ」



 いつも見せない表情でにこにこされているとなんだか反発する気にもなれない。というかなんで泊りまでして補修せないかんのだ。あぁこれじゃゲームが出来ないじゃないか。


 「俺は行きたくないんだが」


 「へぇ」


 他人事のように――いや他人事なんだがいいえ終えると俺の説得を聞かされるんじゃないかと自分の机に戻ってしまった。

 


 最悪だ。

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